あなたはどっちが好き? 片思い中の同級生と禁断の同居『ミントチョコレート』or 突然幼馴染と2人暮らし『恋と心臓』

マンガ

公開日:2020/1/24

『ミントチョコレート』(折笠まみ/白泉社)

 ツンデレとヤンデレ、あなたはどっちがお好みだろうか? 母が再婚した相手の連れ子が片思い中の同級生で禁断の同居が始まるのと、突然アメリカから帰国した幼馴染と2人きりで暮らすことになるのとでは?

 前者が好きなら『ミントチョコレート』(折笠まみ/白泉社)を、後者なら『恋と心臓』(海道ちとせ/白泉社)をおすすめする。選べない! という欲張りな人は遠慮せずどちらも読んでいただきたい。「マンガPark」で連載中の両作ともに、最新刊が刊行されたばかり。いちばん脂がのっている、今が読みどきの作品だ。

『ミントチョコレート』の主人公は七海。女嫌いで有名な京平が唯一気さくに話しかける同級生だったが、両親の再婚によりふたりは義兄妹に。七海の京平に対する気持ちは最初からだだ漏れ、顔には出さないが京平もやぶさかでもなさそうな……というかわかっているのに素知らぬ顔で押し倒したりキスしようとしたり。え、なんで付き合わないん……? と突っ込むのは少女マンガにおいては野暮だが、言わずにいられないじれったさがある(それがいいというのも、もちろんある)。

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 だが、なかなか2人がくっつかないのには理由があった。よりにもよって誕生日に、母が男をつくって出ていったのがトラウマの京平。晴れて正式に恋人同士になったあとも、「どんなに好きでも、大切にしていても、終わるときは終わる」という醒めた諦念を抱いている。七海のことが好きで好きでたまらないのは明らか。全力でピュアな七海の想いを疑っているわけでもない。それでも拭いきれない不安に戸惑う京平……これがなかなか、キュンとくる。大丈夫だよ! 七海はちゃんとそばにいるから! ていうか七海、ピュアなのはいいけど京平の不安を煽るようなことするんじゃないよ! とやっぱりツッコミをいれたくなる。

 最新5巻では恋のライバルとおぼしき七海の従弟が、意外な形で2人に関わってきて、ラブラブなのにちょっと危うい2人の関係から目が離せない。

『恋と心臓』(海道ちとせ/白泉社)

 対する『恋と心臓』は、美人だけど気の強すぎる羊が主人公。元カレともめているところを、突如あらわれた美男子・春馬に助けられる。羊はまったく覚えていないが幼馴染らしく、交換留学生の彼と2人暮らしをすることに(アメリカで働く唯一の家族・母親公認)。とまあ、ここまではラブコメ的展開。問題は、このあとだ。

 羊の親友・冬弥によれば、春馬が暮らしていたはずの隣家は一家心中のあった幽霊屋敷。元カレとの関係を悪化させたストーカー騒動に春馬が関わっているらしいだけでなく、羊のまわりにいる邪魔者を彼は一人、また一人と排除しようと計略を巡らす。

 一方で、羊が自分だけを頼るように、自分だけを見るように、甘い言葉や、ピンチの時はいちはやく助けにかけつけることで篭絡していく。そのピンチは半分くらい春馬のせいで起きているんですけども! ……怖い。羊のことが大好きなのは確かなようだが、その執着はちょっと異常だし、純粋な恋心にも見えない。だからこそ巻を追うにつれて羊が春馬にメロメロになっていく姿にそこはかとない不安を覚える。当て馬好きとしては冬弥にもっとがんばってほしい所存。

 もう一人の親友・早和子は、春馬の化けの皮をはがせるか? 羊がとりもどしかけた春馬に関する失われた記憶とは? サスペンス調の展開にますます目が離せない。

文=立花もも