「イヤだ、イヤだ!」や意地を張る子ども相手につい感情的に…子どもの気持ちに共感しながらできる子育てとは

出産・子育て

2020/1/30

『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(高祖常子/かんき出版)

 泣き続ける赤ちゃんや、イヤだ! イヤだ! を繰り返す子どもにイライラ。余裕があれば笑顔でかわせるけど、時間がないと感情的になることも。子どもは可愛いし、もっと穏やかな気持ちで子育てしたいのに…。

『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)では、実際の親の悩みをもとにした「子どもの困った」の解決法を、毎日の場面ごとに、イラストを交えてわかりやすく教えてくれます。著者は、「どならない、たたかない」子育てを広げるために活動する、子育てアドバイザー・高祖常子さんです。

 著者によれば、子どもの対応で一番大事にしたいのは「子どもの気持ち」。その気持ちを理解できなくても、「そういう気持ちになったんだね」とまずは共感し、その後の対応を考えることが大切だといいます。

親が手間をかけて作った料理を食べてくれない…

 

「私がきちんと手間をかけて作ったときほど食べない。そして投げる。フォーク、スプーンをポイポイ投げ、拾っても投げる、の繰り返し。目を合わせて低めの声で「投げちゃダメ!」と言うと、視線をそらし、またポイ!」(1歳半女の子)

 たとえば、こんな食事のお悩み。子どもはこの時、「ママのお顔が怖いよ」「おなかが空いてないんだもの!」などと考えているそうです。

 手間をかけて作ったことから、「しっかり食べなさい」と怖い顔になっているかもしれません。お母さんやお父さんが怖い顔をしていると、子どもも食事が進みません。手作りが気分転換になるならいいものの、手間をかけた手作りがストレスになっているのなら、少しお休みしては、と著者はアドバイスしています。さらに、お腹が空いていなくて、食べずに遊んでしまうのなら、食事時間を見直したり、体を動かす時間を増やしたりするのも効果的。

「投げちゃダメ」といった言葉がけは筆者もよくしますが、「子どもが楽しくなってしまっているかも」と指摘されて目から鱗でした。ママが反応するのが楽しくて、同じことを繰り返すそうです。ダメなことはダメと伝えることも大事だといいますが、こぼしてもいいような敷物を準備するなど、親自身のイライラ防止対策も参考にしたいものです。

あと回しや言い訳…意地を張る子どもとの戦いに疲れる…

 感情や意思を伝えられる年齢になると、今度は「できるのにやらない」「言い訳をする」などの「困った」が増えてきます。そんな時には「子どもと相談する」「アイデアを考えてもらう」などの対策もおすすめだとか。

 

やらなければならないことをあと回しにしたがる。ごはん、お風呂、着替え、歯磨き……etc。今やっている遊びを中断したくないのはわかるので、切りの良いタイミングで終わるように声をかけるのですが、わざとすぐ次のことを始め、「今これやってるからできない!」となかなか先に進めません(泣)。夜も朝も娘の意地との戦いです。(4歳女子)

 この悩みには、「私には私のペースがあるからね」「またやりたいことが見つかっちゃったんだから」という子どもの気持ちが代弁されていました。次のことを始めてしまうのは、自分のペースを大事にしたい、指示されたくない、という気持ちの表れかもしれず、どうしたらいいのか自分で考えることで、子どもは自分が尊重されている気持ちになるそうです。

 相談の仕方は、「朝起きたら、保育園(幼稚園)に行くまでに歯磨きをして、ご飯を食べて、着替えないといけないけど、いつもギリギリになるからどうしたらいいかな?」などと具体的にするのが◎。朝の時間が足りなければ、前夜に着替えを選んでおくなどの工夫もできます。スケジュールが決まったら、「◯◯の時間」などと時計の絵を書いたスケジュール表を貼っておくのも一案。また、「タスクリストを作り、完了したらお気に入りのシールを貼る」という方法は、親子で楽しくできそうだと感じました。

子どもに対しても、大人同士と同じように気持ちを想像した相談を!

 

 本書を読み、子どもの気持ちをはなから否定していたな、親が勝手に枠を決めてはめようとしていたな、と反省…。大人同士と同じように、子どもに対しても気持ちを想像した言葉がけや相談が必要だし、子どもをやる気にさせるにはコツがあることが伝わってきました。「子どもの気持ち」は場面ごとに違うので、本書のようなお手本がないと難しい時があるかもしれません。その点、夜泣き、歯磨き、園や学校に行く時の渋り、お出かけ先などシーン別に、専門的な見方で具体的に書かれているのはとても助かります。

 親に否定されたり、悲しくなったり、そんなことが続くと子どもは家庭が安全だと感じられず、その後に伸びるはずの「友達を作りたい」「夢を叶えたい」といった高度な欲求を積み重ねていけないことがあるそうです。また、幼少時の激しい体罰や暴言によって、脳の一部が縮小するという研究データも報告されており、子どもへの対応や言葉がけが、子どもの未来に直接つながっていくことがわかります。

「待つ時間」が大切だという、子どもとのコミュニケーション。忙しい日常の中で、いつもゆっくりと気持ちを聞いて対応するのは難しいのですが、心がけるだけでも向き合い方は変わるはず、と著者は語ります。「どう対応したらいいのかわからない」「毎日、子どもとの戦いでつらい」「叩いてしまいそうでこわい…」という人におすすめしたい1冊です。

文=吉田有希