ワンコ系後輩×クールな先輩(秘密アリ)──圧倒的にピュアで眩しい、男子高校生たちの恋! 『キューピッドに落雷』

マンガ

公開日:2020/1/28

『キューピッドに落雷』(鈴丸みんた/東京漫画社)

 誰にだって、苦手なもののひとつやふたつ、あっていいのではないかと思う。かくいう私も、実は犬が苦手だが、他人にはちょっと言いにくい。だって犬好きな人って多いし、犬が怖いとでも言おうものなら、その人たちに嫌われそうだし! だからふだんは「犬なんて怖くないですよ」的に装っているのだが、そういう人、私だけではないのでは?

『キューピッドに落雷』(鈴丸みんた/東京漫画社)の作中にも、「実は苦手」を抱える人物がいる。

 主人公の慎吾は、とある高校に通う1年生。学校では、持ち前の人懐っこさで仕入れた男子の情報を女子にリークし、“恋のキューピッド屋さん”と呼ばれている。腕のいい情報屋は大繁盛。慎吾が新たに受けた依頼は、額に大きな傷跡のある、2年生の蒼生について調べることだった。

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 さっそく調査をはじめた慎吾だが、取りつく島もない蒼生の態度にミッションは難航。得意の話術が通じないどころか、傷跡のことを無神経にたずねてしまい、彼の不興を買ってしまう。どうにかして謝ろうと雨の降る放課後、慎吾は蒼生に会いに行くが、どうも蒼生の様子がおかしい。どうやら蒼生は、雷が苦手なようで……?

 クールな蒼生が、雷を怖がっているなんて。この秘密を知っているのは、もしかすると自分だけかもしれない。そう感じた慎吾の頭は、蒼生への興味でいっぱいになった。次はどうやって話しかけよう、どうやったら仲よくなれる? 全身がビリビリするような、この気持ちはなんだ? そしてある雷雨の日、ふたりの距離に変化が起きる!

 続刊の『キューピッドに落雷 追撃』(鈴丸みんた/東京漫画社)では、そんなこんなでおつき合いをはじめたふたりのその後が描かれる。

 慎吾と蒼生が、仲を深めた夏休み明け。両思いを絶賛満喫中の慎吾だが、間近に迫った体育祭では、ペアダンスを踊るメンバーに選ばれた。女子と密着する競技は、蒼生が嫌がるかもしれない。でも嫉妬してくれるなら、それはそれでうれしいかも? とにかく彼に伝えておかなくてはと、慎吾が蒼生に会いに行くと、蒼生は上級生に絡まれていた!

 蒼生に絡んでいたのは、3年生のイケメン代表・猛生。彼は蒼生をライバル視しているらしく、なにかと蒼生につっかかっているようす。一方の慎吾は、体育祭のペアダンスに向けて放課後は練習漬けの日々だ。会えないばかりか、雷雨の日に蒼生を家まで送ることもできず、蒼生を心配する慎吾。そして、ちょうどその雷雨の放課後、ある理由から学校に居残っていた蒼生は、慎吾しか知らない「雷が苦手」という秘密を、猛生にも知られてしまい──慎吾と蒼生の仲はどうなる!?

 恋に落ちた瞬間のことを「雷に打たれたよう」なんて言うけれど、本シリーズを読んでいると、その意味がよくわかる。恋という名の落雷は、本人たちにとって衝撃的であることは間違いないし、それを遠くから見ている私たちにとっても、鮮やかで眩しい。純粋で鮮烈な光に、身を焦がしてみたくなる。

 元気でまっすぐなワンコ系後輩×クールでミステリアスな先輩男子高校生の恋を丁寧に描き出す、鈴丸みんたの大人気デビュー作とその続編。圧倒的な可愛さ、エロさ、愛おしさの衝撃に、あなたも打たれてみてください。

文=三田ゆき(リアルの犬は怖いけど、ワンコ系キャラは好き!!)