レトロでかわいくてエッチ、だけど隠さなくていいエロ本! たなかみさきの『あ~ん スケベスケベスケベ!!』

文芸・カルチャー

2020/2/1

『あ~ん スケベスケベスケベ!!』(たなかみさき/PARCO出版)

 学生時代、みなさんの“エロ本の隠し場所”は、どこでしたか? なんて言ってはみたものの、筆者はエロ本らしいエロ本を買った経験がありません。ただ、少し攻めた内容の漫画は、親に見つからないように念のため押入れの奥に入れたり、ブックカバーをかけたりして、なんとなく後ろめたさを感じていた記憶があります。

 1月24日に発売された『あ~ん スケベスケベスケベ!!』(PARCO出版)は、インスタグラムのフォロワー30万人を超える人気イラストレーター・たなかみさきさんが手がけたイラスト集。タイトルを見ると「スケベがてんこ盛りなのか」と構えてしまうかもしれませんが、たなかさん曰く同書は「隠さなくても良い『エロ本』」とのこと。その言葉どおり、さわやかさとエロさを兼ね備えた稀有なエロ本に仕上がっています。

 スケベでかわいいイラストはもちろんですが、同書に施された仕掛けも見どころのひとつです。たとえば、同書がビニール袋に包まれた“ビニ本仕様”で売られている点。ビニ本とは70年代から成人雑誌の立ち読み対策として採用された販売スタイルで、ビニ本を買い求める人々は、試し読みができない状況で本を選ぶことになるそう。ちょっとした賭けですね。

 そんな“買わなければ中が見えないもどかしさ”を体感できるのが、この『あ~ん スケベスケベスケベ!!』の特徴です。ビニールから出した本を開けば、エロ本の定番「スペシャル袋とじ」ページもあるので、袋とじを破くドキドキ感まで味わえちゃいます。

 そして、イラストの魅力を最大限に引き出しているのが、各イラストに書かれた「見出し」です。

 この生活感あふれる和室で佇む女性のイラストには、「気になるあの子の一日」という見出しとともに「★気になるあの子の一日はいったいぜんたいどんなだろう? ひみつの六畳一間からおとどけ!」という、味のある一文が書かれているのです。実際の見出しは、ぜひ現物でお楽しみください。

「★大きくはみ出た唇は寝っ転がるのが得意と言う」

「★忘れる事で悲劇は気づかずにやってくる」

 実は、こうした「見出し」もまた、往年のエロ本の名物。どのイラストにも小粋な見出しがついているので、絵と見出しからストーリーを妄想するのもアリです。

 同書には、読み切り漫画の「エロエロエイリアン♥コミック ゴー! ゴー! スペースシスターズ」のほかに、エロの伝道師ことみうらじゅん氏とたなかさんの対談も掲載。それぞれが抱いている“エロ”に対する想いや、みうらさんが30年以上集めている「エロスクラップ」など気になるワードが飛び出しまくる、濃厚な対談になっています。

「ゴー!ゴー!スペースシスターズ」より

 エロ本を愛する作者による、隠さなくても良いエロ本。ビニールの中身が気になる人は、ドキドキしながら手に取ってみては?

文=とみたまゆり