その神社にそのお願いをしたらダメ!? 日本の神様の世界を知れば、お願いごとが伝わりやすくなる?

暮らし

2020/2/4

『神様と仲よくなれる! 日本の神様図鑑』(大塚和彦/新星出版社)

 今年の初詣にあなたはどこの神社で何をお願いしただろう? ところでそのお願いは、参拝した神社にふさわしいものだっただろうか?

 実は神社に祀られている神様にはそれぞれ得意分野というのがある。たとえば太宰府天満宮や北野天満宮といった「天神様」は学問の神様として知られるが、それは祀られているのが学芸に通じていた平安時代の菅原道真公だからだ。

 というわけで、具体的なお願いごとがあるならそれが得意分野の神様にお願いするに越したことはないのだが、そのためにはもう少し神様の世界を知っておく必要がありそう。何しろ日本に神社は約8万社もあるのだから(全国の郵便局約2万4000局、コンビニ約5万店舗に比べるとすごい数だ)。

「日本の神様と仲良くなるには『古事記』や祝詞(のりと)の世界に親しむといい!」というのは『神様と仲よくなれる! 日本の神様図鑑』(新星出版社)の著者・大塚和彦氏だ。『古事記』とは1300年前の奈良時代に編纂された日本最古の歴史書であり、天地の創生から推古天皇の時代までが記録されている。上・中・下の3巻にわたるが、この場合に大事なのは上巻に描かれた神々の世界(神話)だ。実はこの中に登場する神々が多くの神社で主祭神となっているため、『古事記』を読めば神様の世界がよくわかるのだという。

 とはいえ、いきなり『古事記』を読むのはハードルが高すぎる…そんな時にこそ、カラフルなイラストでわかりやすい大塚氏の本を参考にするといい。本書では「ここだけわかれば『古事記』はイケる」として、特に活躍場面の多い「6柱の神」と舞台となる「3つの世界」、中心となる「6つの物語」をピックアップしている。

■つながりを知れば知るほど興味が尽きない神様の世界

 たとえば「6柱の神」とは夫婦で国づくりをした「イザナギ」と「イザナミ」、その子である「アマテラス」と「スサノオ」、イケメンで人気のある「オオクニヌシ」、アマテラスの孫「ニニギ」のこと。この6柱はさまざまな神を生み出したり従者がいたりと他の神とのつながりが多く、有名なストーリーにも関わっているので、まずはこれらの神々を押さえておけば『古事記』の世界がぐんとイメージしやすくなるというのだ。

 実は『古事記』には300柱以上の神が登場するといわれており、あなたがお参りした神社で祀られている神様が上記の6柱とは限らない。そんな時は「参拝した神社のご祭神を調べて(たいていの神社では立て札に書いてある)、6柱の神様との関係を調べてみるといい」と著者はアドバイスする。中心がわかっていることで関係性がより立体的になり、親近感もわいてくる。中には6柱と結びつかない場合もあるが、実は同じ神様の別名だったなんてことも多いらしく、知れば知るほど奥深いのが神様の世界だ。

 なお本書には大祓(おおはらえ:6月末と12月末の年2回、半年の罪を祓う儀式)の祝詞も解説つきで掲載されている。祝詞とは神に奏上する言葉のことで、神職が儀式で唱えるのを聞いたことがある人も多いだろう。実は「般若心経」などのお経と同じように、祝詞も私たち自身が「自分の気持ちを神様に捧げるもの」として唱えていいものなのだ。

 いよいよ2020年はオリンピックイヤー。いやでも私たち自身が「日本人」を意識させられる機会が多くなることだろう。そんな中、こうした本をガイドに日本の神様の世界をのぞいてみるのも、自分の足元を見直すおもしろい機会になるのかもしれない。

文=荒井理恵