思い悩んだときには、体操をしよう

公開日:2012/6/4

幸福論 -まんがで読破-

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : イースト・プレス
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:アラン企画・漫画 価格:400円

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恋愛論、人生論、リーダー論、政治論、資本論…。書名に「論」がついただけでもうむずかしそう、めんどうそうで、見ただけで拒否反応。それを、まんがで、電書で読めるなら話は別。いまの読書環境は幸福! この「幸福」とはいったいなんだろう。それに答えてくれるのが、アランの『幸福論』。

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『幸福論』は、「論」にありがちな哲学的に「幸福とはなんぞや」と問いかけて、幸福とはこういうものなんだと定義づける内容の本ではない。人が、幸福な感じ、幸せな気分、心地よく安定した気持ちであるためには、どうしたらいいだろう。そのアドバイスをしてくれる優しい本だ。そうなるように、「幸福論」をザックリ3点に要約すると。

一、人の苦しみの多くは想像力による。それを遠ざけるには、微笑む、あくびをする、肩をすくめる、あるいは体操をするなど体を動かすといい。「想像」と「行動」を同時に行うことはできません。

一、人は時間があると、あることないこと余計なことを考え、深みにはまる。自分に考えるヒマを与えないようにすれば、情念の支配を防ぐことができる。多忙な人ほど幸福に近いと言えるでしょう。

一、相手が不機嫌なときこそ、感謝の言葉を。そうするだけで周りの人を、なによりも自分を幸福にすることができる。

以上3つを、かりに逆にしたらどうなるか。想像力をたくましくすれば、苦しみはより深く、ましてヒマで時間があれば苦しみはさらに深く、そんなときに人から余計なことを言われれば、「うるせな~」「だまってろよ」と関係は一気に緊張、その結果だれひとり幸せになることはない(この関係が実は、『幸福論』の主人公ロランと友人ドニの関係)。幸福と不幸は隣り合わせ。『幸福論』はまた「不幸論」でもある。

だから『幸福論』は言う。まず「自分が幸福でいることが、他人へのいちばんの礼儀なのだ」。なるほど。『幸福論』のオリジナルも読んでみようか。


『幸福論』の登場人物。主人公ロラン、作家エミール(アラン本人)のほか、ロランの友人ドニ、その姉マリーら

「みなさんは、幸福についてどうお考えですか」と始まるまんが『幸福論』

物語は、ロランの気づかいをかたくなに拒絶するドニ。この2人の関係中心に、それにエミールが助言するかたちで展開 (C)バラエティ・アートワークス/イースト・プレス