まずは、「幸福とは何か」を考えたい人に向けた1冊

小説・エッセイ

2012/6/4

新・幸福論 ─ 青い鳥の去ったあと

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : ポプラ社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:五木寛之 価格:1,188円

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幸福とは何だろうか?
などといちいち考えないのが一番幸福な状態だと、いつか誰かが言っていたような気もします。手段の目的化とも申しましょうか、「この苦しみは幸福につながっているのだろうか」と考えていても、しょうがないですよね。

しょうがないけど、考えないわけにはいかない人には、こちら五木寛之先生の『新・幸福論』がおすすめ。作者自身が「ここに書いた文章は、明日の幸福の設計図ではありません。私の実感を手さぐりしながら、幸福という、いささか気恥ずかしい主題を追いかけてみた足跡です」とまえがきに書いているように、いわゆる自己啓発的な類とは一線を画する内容になっていると思います。

隣の芝生が青く見えるように、成功者の活躍を幸福と捉え、それを欲しがる。そんな幸福への渇望がいらぬ嫉妬や争いを生み出す。こんなモヤモヤとした感覚を個人的には抱いていましたが、作中の「少数者の幸福論は、私たちにとってあまり必要がないかもしれません」のひと言で霧散。あるべき幸福の形に囚われすぎてはいけないのでしょうね。

東日本大震災や、減ることのない自殺者数、格差など、現代の日本社会が抱える問題を照らしながらも、その豊富な経験と知識をおりまぜて展開される「幸福論」。平易な言葉で分かりやすく語りかけてくれます。


現代は「大禍時(おおまがとき)=禍いの訪れる時刻」だと指摘

「青い鳥」はすでに飛び去って、唖然と立ちつくしている状態であるとも

他者の不幸を意識することで生まれる優越感のような幸福と、他者の不幸を切り捨てて成り立つ幸福があるという

競争の末に勝ち取るような幸福はあまり必要がないのかもしれません