子どもの筋トレは背が伸びないって本当!? スポーツドクターが教える、親が知っておきたいスポーツの新常識

出産・子育て

2020/2/15

『子どもの健全な成長のための スポーツのすすめ スポーツをする子どもの父母に伝えたいこと』(田崎篤/岩崎書店)

 近年、子どもたちの運動不足による体力低下が問題視されている。外遊びできる場所が減ったことやゲームなどの室内遊びが増えたことで、基本的な運動能力が身についていない子どもが非常に多いというのだ。体力が低下すると健康への悪影響はもちろん、気力の低下も心配される。

 そんな話を耳にすると育ち盛りの子を持つ親としては何か子どもにスポーツをやらせたくなるが、一体どんなスポーツをやらせればいいのか、親はどんなサポートをすればいいのか、実際のところ分からないことだらけだ。

『子どもの健全な成長のための スポーツのすすめ スポーツをする子どもの父母に伝えたいこと』(田崎篤/岩崎書店)は、そんな私のような子育て中の人に読んでほしい1冊。著者は、聖路加国際病院で整形外科医長、スポーツ総合医療センター副センター長を務め、ラグビー日本代表(7人制男女)のチームドクターとしてリオ五輪ほか多くの国際大会に帯同するなど、幅広く活躍するスポーツドクターの田崎篤氏。本書には子どもとスポーツに関する最新の知識から家庭でできるサポートまで、親が知りたい素朴な疑問の答えが詰まっている。

運動神経は小学校中学年までに80%程度が完成する

 週末に子どもを連れて公園に出かけると、小学生くらいの男の子たちが一か所に集まり、全員で下を向いてゲームに熱中している姿をよく見かける。時代だな~と思うが、本書によれば幼児から小学生の頃に運動をしない子どもは将来的に超危険信号。“運動不足は喫煙よりも健康に悪い”といわれるほど、運動と健康は密接な関係にあるという。

 例えば骨密度。年齢とともに骨がもろくなる骨粗しょう症は骨密度の低下が原因だが、この骨密度は子どもの頃にどれくらい走り回っていたかで決まる。また、運動神経の能力も幼児期~小学校中学年の間に開発され、12歳までにほぼ完成するという。

 つまりどちらも大人になってから慌てて高めようとしてもすでに手遅れということ。能力を伸ばす適齢期に積極的に体を動かしておくことは、未来への投資といえるのだ。

習い事をしなくても“外遊び”で十分

 ではどんなスポーツをすればいいのだろうか。最近は子どもに何を習わせようかと迷うほど、習い事が多彩にある。

 文部科学省では、幼児期に身に着けたい基本動作として、「からだのバランスを取る動き」「からだを移動する動き」「用具を操作する動き」の3つを挙げている。これを自然に体得できるのが“外遊び”だと著者はいう。

 木の根が這うような地面をバランスを取りながら走ったり、ジャングルジムに登ったり、小学生ならドッジボールや竹馬、ゴム跳びといった道具を使った遊びを楽しんだり。全身を使って外で思いっきり体を動かすだけで、運動神経は十分鍛えられるのだ。

 そのうえでプラスしたい習い事として、水泳やサッカー、テニス、ダンスなどの有酸素運動の要素が入っているものをすすめている。ひとつに絞らずに複数のスポーツにチャレンジするのも可能性を広げるという。

昔の常識は通用しない! 家庭でできる正しいサポート

 だからといって成長期に運動をさせすぎるのは、かえってケガなどの弊害を及ぼすため危険だ。昔は「1日練習を休むと取り戻すのに2日かかる」なんていわれたものだが、これは現在のスポーツ医学では否定されているという。

「子どもの筋トレは背が伸びない」というのも医学的根拠のないもの。最近ではむしろ筋トレをしたほうが成長ホルモンを分泌させるといわれているそうだ。

 子どもにスポーツをさせるなら、まずは親が正しい知識を持っておきたいところ。本書にはスポーツに励む子どもに親として的確なサポートができるよう、家庭でできる食事やメンタル面のサポートについても具体的に記してくれているので心強い。

 本書はそれぞれのプロフェッショナルが今知ってほしい最新知識を伝える「岩崎書店の子育てシリーズ」の第1弾。将来、子育てに後悔しないためにもぜひ手に取ってみてほしい。

文=齋藤久美子