始まりは「気持ち悪い…!」恋と呼ぶにはまだ早い!? 一方通行年の差ラブコメ

マンガ・アニメ

2020/2/14

『恋と呼ぶには気持ち悪い』⑦(もぐす/一迅社)

 一方通行ラブコメ『恋と呼ぶには気持ち悪い』(もぐす/一迅社)が大ヒット中だ。累計発行100万部を突破(※電子書籍含む)でアニメ化も決定。オタク女子高校生に、ハイスペック会社員が猛アプローチをし続ける、良い意味でのマンネリズムが楽しい物語である。

 天草亮(あまくさりょう)と有馬一花(ありまいちか)の仲が少しずつ深まっていく、甘々なエピソードも満載。非常にわかりやすい直球のラブストーリーだ。ただ本作の魅力は「読みやすい恋愛もの」というだけではない。

 ポイントは恋を通してキャラクターたちを丁寧に描いているところ。本稿では最新単行本の7巻を中心にレビューしていく。

■JKに恋するエリート! 一方通行な想いを中心に描かれる恋模様

 天草亮は若くして課長代理をつとめる、言ってみればエリート。さらにイケメン(女癖の悪さも…)というハイレベルな会社員である。

 そんな亮はある日、駅の階段で転びそうになったところを偶然通りかかった高校生の有馬一花に助けられた。

 後日、一花と再会した亮は助けてもらったお礼に「キスしようか?」などと軽いノリでアプローチした。だが一花はそんな亮に「気持ち悪い」「そもそもお礼されるために助けたわけではない」とハッキリ言い放つ。彼女は超のつく真面目な女の子だったのだ。

 自分を助けてくれ、さらにしっかりと自分の意見をぶつけてきた一花を、亮は「運命の相手」だと確信。そして毎日一輪ずつ花を贈る、夜中に心配して迎えに行く、など適度なストーカーまがいの愛情表現(笑)を繰り返すようになる。こんな一方通行な恋物語に、ほかの登場人物たちが絡みつつ、2人とその周りの世界が動き始める。

 一花に想いを寄せる同級生・多丸快は、彼女とオタク趣味が合い、意気投合。徐々に距離を近づけていく。そんな彼に亮は大人気なく対抗意識を燃やす。

 亮の同期・アリエッティこと松島有枝は筋金入りのオタク美女。感じが変わった(成長した)亮に惹かれていく。内面がとてもかわいらしい、ライターの個人的なイチオシキャラである。

 天草理緒は亮の妹で、一花の友人。ふたりの恋を応援しつつも、兄のさまざまな危うさを本気で心配している美少女だ。ツンデレキャラが好きな方は、ハートキャッチされるかもしれない。

 男性ファンも楽しめる魅力的なキャラクターたち、彼らの想いも錯綜し、一方通行ラブコメはさらなる盛り上がりをみせるのだ。

■恋で成長する亮。恋に向き合えるように変わる一花

 本作のポイントは、やはり亮と一花、ふたりの丁寧な心理描写、そして成長だ。女性に対してテキトーだった亮は、初めてきちんとした恋をすることで、人の心を知ろうとするようになった。亮の変化と成長については、ぜひ以下の記事を読んでみてほしい。

ピクシブ発の人気作累計10万部突破!! 「気持ち悪い」なじられてはじまる女子高生とのラブストーリー!?

 一花もまた恋によって変わるのだ。彼女は真面目で普通の高校生。恋愛にはうとい、ライトノベルのキャラクターに入れあげるオタク女子だった。

 亮に「変態」「おかしな人」と言いながらも、好意をもたれることに悪い気はしていなかった。ただ恋愛にうといことに加えて、大人からの一方的な求愛は、どこかリアリティがなかったのかもしれない(亮の絡み方がどこかギャグっぽいこともあるが…)。

 しかし彼女はバレンタインの日、同級生の多丸に告白され、変わった。

 思ってもみなかった告白。彼は趣味の合う友人であり毎日顔をあわせる同級生だ。その関係の変化や、自分はもちろん同い年の相手の気持ちを真面目に考えた。一花はこれにより恋をリアルに考え、しっかりと向き合えるようになったのではないだろうか。

 年の差はあれど、男も女も、恋で変わり、成長していく。前述の登場人物たちの内面もしっかりと描かれ、物語は厚みを増していく。恋愛ものの醍醐味とキャラクターを、味わいつくせる作品なのである。

■いよいよ佳境! 年の差の壁をのりこえるためには…?

 こうしてふたりはお互いに、別の相手から想いをよせられ成長した。最新の7巻では、この“恋愛ステージ”の上がった一方通行カップルが、デートに出かける。そしてプラトニックな関係を描いてきた本作もいよいよ? という胸キュン展開が待っている。

 また物語の中で触れられているようで触れられていなかった部分も描かれる。それは“年の差”だ。

 告白してきた松島に素直に一花のことを話した亮。するとたとえ好きでも女子高生相手では「年の差は障害になる」と言われてしまう。また、亮は一花とのデート中に会社の同僚たちに出くわしてしまうが、そのとき一花はとっさに「妹です」と嘘をつく…。さらに関係が悪い亮の父親にも、ふたりのことが知られてしまい…。

 亮は悩み、心をざわつかせ…というシリアス展開。「社会人男性が女子高校生に求愛する」というのは、マンガならではだなあと思いつつ、気にせず読んでいたので「えっ! ここ描くんだ」と驚いた。世間や年の差と、どう折り合いをつけるのかは気になるところである。

 佳境に入ってきた“年の差”一方通行ラブコメ。彼らの行く末を楽しみにしたい。

文=古林恭