あなたは何型クズ? 人気作家・カレー沢薫が、世にはびこるクズたちを類型化!

文芸・カルチャー

公開日:2020/3/9

『クズより怖いものはない』(カレー沢薫/大和書房)

“みんなそれぞれ、全員クズなんだから、不必要に他人と比べて劣等感感じることはない”

「下から目線」のマンガやコラムが大人気のカレー沢薫さんがこのたび取り上げたのは「クズ」。『クズより怖いものはない』(カレー沢薫/大和書房)は、話題を呼んだウェブ連載「クズの遠吠え」が書籍化されたものだ。

 コミカルなタッチで描かれるクズたちのありよう。紹介されるのは、34類型ものクズだ。クズの言葉がゲシュタルト崩壊するぐらい、連発される。自分もクズであるように思えてくるが、それもなんだか悪い気がしない。

 決してコミカルなだけではなく、ハッとさせられるような言葉も随所に鏤められているのも読みどころだ。

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“紹介するクズに対し「こういう奴もいる」と思うだけではなく「自分にもこういうとこあるわ」と、思うのにも使っていただきたい。
気づいて治せというわけではない、どうせ治らないと思う、ただ気づくだけで良い”

 さて、どんなクズがいるのだろうか。本書で紹介されているクズをいくつか見てみよう。

真面目系クズ

“真面目系クズとは、その大人しさ、無害さ故に、周囲から「真面目」という評価を受けているが、決して勤勉ではなく、むしろ向上心が皆無で、(中略)トータル的にオーラがあるクズよりも働いていない人間のことである”

 カレー沢さんによれば、彼らは“自覚なしの場合が異様に多い”。自身も、真面目系クズという言葉に出会うまでは“どちらかと言うと真面目”だと自認していた。

かまってちゃん型クズ

 カレー沢さんは、彼らを“承認欲求の過激派集団”と表現する。“かまってほしいという気持ち自体は人間が標準装備しているもの”だが、欲求が強すぎて周りに迷惑にかけるレベルになってしまうこともある。“人は誰しもかまってほしい、だがかまう方はそれなりに時間と体力を使っているということを忘れてはならない”とカレー沢さんは警告する。

 本書では終盤にいくつかの「クズ対策」が提案される。ひとつには「マイクズを管理・把握する」がある。自分のクズなところを理解しておけば、悲劇は起きにくい。そして同じく重要なのが、他人の中にクズを見つけたときに寛容になることだ。

 本書で紹介されるクズは、大なり小なり誰にでもあるものだ。あえてクズを切り口に人間を見ることで、読み終える頃には、他人も自分もちょっと許せるようになれるかもしれない。

文=えんどーこーた