電撃小説大賞 注目の2作品を大解剖‼ ~『今夜、世界からこの恋が消えても』~

小説・エッセイ

公開日:2020/3/7

 日本最大級かつ最難関の新人賞・電撃小説大賞の新たな受賞作が決定した。第26回目となる本年度の応募総数4607作品の中から頂点に輝いたのは、いずれ劣らぬ傑作・感動作・挑戦作ぞろい。今しか書けない物語、今こそ世界が待ち望んでいる物語が、ここから誕生する――。

注目作家を続々輩出!次世代のエンタメ小説に刮目せよ!

 1994年より開始され、第26回目を迎えた電撃小説大賞。四半世紀に亘って時代を牽引する作家を、作品を多数発掘してきた。国内で開催される小説新人賞においては最多の応募数を誇り、選考は毎回熾烈を極める。それだけに戦いを勝ち抜いた作品のレベルも非常に高い。

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 ジャンルも条件も一切問わず、求められるのは「自由奔放で刺激的」という一点だけ。

 今回も、《メディアワークス文庫賞》を受賞した『今夜、世界からこの恋が消えても』(一条岬)は純粋なラブストーリー、《選考委員奨励賞》受賞の『そして、遺骸が嘶く―死者たちの手紙―』(酒場御行)は骨太な戦争文学と、多種多彩な結果となった。

 電撃小説大賞からデビューした作家勢の活躍は著しい。佐野徹夜の『君は月夜に光り輝く』(第23回《大賞》受賞)は60万部を突破したラブストーリーで、永野芽郁と北村匠海のダブル主演で2019年に映画化。北川恵海の『ちょっと今から仕事やめてくる』(第21回《メディアワークス文庫賞》受賞)は2017年に福士蒼汰と工藤阿須加で映画化され、シリーズ累計70万部を超える社会現象となった。

 他にも「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズでライト文芸というジャンルを打ち立てた三上延(第8回電撃ゲーム小説大賞応募)、あやかし小説ブームの起爆剤となった「神様の御用人」シリーズの浅葉なつ(第17回《メディアワークス文庫賞》受賞)ら、ベストセラー作家が多数ここから生まれている。

 最大級の新人賞が放つ最新、最旬の物語に、ぜひふれてみてほしい。

文=皆川ちか

 

この作品も「電撃小説大賞」出身!

【実写映画化】【コミック化】感涙必至のラブストーリー

『君は月夜に光り輝く』書影

『君は月夜に光り輝く』
佐野徹夜:著 loundraw:イラスト メディアワークス文庫 630円(税別)
月の光を浴びると体が光る発光病を患う少女まみずと、姉の死以来なげやりに生きている卓也。まみずが「死ぬまでにしたいこと」に協力するうち、卓也の止まっていた時間が動きだす――。

映画『君は月夜に光り輝く』
監督・脚本:月川 翔 出演:永野芽郁 北村匠海 2019年日本 本編101分 発売:KADOKAWA 販売:東宝 DVD通常版3800円(税別)
(C)2019「君は月夜に光り輝く」製作委員会

 

第27回電撃大賞の募集締切は4月10日!

↓↓↓↓↓

http://dengekitaisho.jp/

 

メディアワークス文庫賞

『今夜、世界からこの恋が消えても』書影

『今夜、世界からこの恋が消えても』
一条 岬:著 Koichi:写真
メディアワークス文庫 630円(税別)
高校2年生の“僕”こと神谷透は、クラスメイトを苛めから守るため、特進クラスの美少女・日野真織に嘘の告白をする。真織は「私のことを本当に好きにならないこと」という条件を出した上で告白を受け入れる。かくして偽りの恋がはじまるが、いつしか僕は真織を真剣に恋するように。しかし彼女は、前向性健忘という病を抱えていた――。
『今夜、世界からこの恋が消えても』特設サイト
メディアワークス文庫公式サイト
 

一日ごとに記憶を失う君に、毎日出会い、恋をする

 毎日を淡々と生きてきた少年が、生まれて初めて落ちた恋。無色透明な日々に色がつき、世界が豊かになっていこうとする寸前、神から悪意のような試練がもたらされる。

「病気、なんだ。前向性健忘っていってね。夜眠ると忘れちゃうの。一日にあったこと、全部」

 どんなに日々を共に過ごしても、思い出もそのときに感じた気持ちすらも共有することはできない。だからこそ彼らは精一杯生き、恋をする。

 いつ治るとも知れない記憶障害に苦しみながらも、前向きに生きる真織。そんな彼女を支えるうち、複雑な家庭環境にある“僕”もまた家族と向きあう強さを獲得していく。

 恋が深まっていく中で突如として起こる驚愕の出来事。そして鮮やかにして衝撃的な幕切れ。2人にとって、おそらくこれしかなかったであろうこの結末はハッピーエンドか、それともサッドエンドなのか。どちらでもあり、どちらでもないような切なさに……痛くなるほど胸が締めつけられる。

推薦コメント続々!

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