光る豚肉、発ガン性のあるジーンズ、殺人エレベーター……。中国の知られざるヤバい話

マンガ

公開日:2020/3/6

『国籍を捨てた男が語る中国のヤバすぎる話』(孫向文/竹書房)

 時折、メディアで報道される中国で起きた事件。過去には食品偽装事件や国による徹底した情報規制が話題になった。お隣の国の事件とはいえ、本当に現代でこんな事件が起きるのか……と呆然とした人も多いことだろう。実際、中国ではなにが起きているのか。

 そんな疑問を明らかにしてくれるマンガがある。『国籍を捨てた男が語る中国のヤバすぎる話』(孫向文/竹書房)。これはタイトルの通り、中国で起きたヤバすぎる事件を描く、コミックエッセイだ。しかも著者の孫向文さんは、中国で生まれ育った人物。想像もできないような中国の実態を目の当たりにし、いまは国を捨て、日本国籍を取得中だという。そんな孫さんだからこそ描ける、中国の真実。その一部を紹介しよう。

不気味に光る豚肉が存在する

 中国では食品にまつわる事件が多い。なかでも孫さんが驚いたのが、「光る豚肉」の存在だ。これは2016年1月に発生した事件で、重慶市と達州市で販売されていた豚肉が暗闇で光を放ったという。いったいなぜか。

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 その理由を聞いてびっくり。豚に与えていた飼料にリンが含まれており、それが豚肉に蓄積されていたというのだ。そんな化学物質の塊を食べてしまったら……。想像するだけでも恐ろしい。

中国人のマナー問題

 中国人のマナーについては中国政府も問題視しているようで、2016年の春にはマナーの悪い国民の渡航を禁止すべく、海外旅行者ブラックリストを作成したという。

 中国では電車の座席の取り合いで流血沙汰の事件も起きていたり、街なかにあるマンホールの蓋や高級車の部品を外して持ち去ったりするなど、傍若無人な振る舞いをする人が少なくない。日本人からすれば考えられないことだが、これもお国柄なのだろうか。

衣料品で生命の危機にさらされることも

 中国製の衣料品には、生命を脅かすものもある。なんと、中国の衣料メーカーは、コスト削減の名目で「発ガン性物質」をよく使用しているというのだ。2013年には、上海市内の中学校で使われている制服用ジャージの3割から発ガン性染料が検出された。また、ジーンズを穿いていた女性の両足に焼けただれたような湿疹が生じ、調べてみたところ、やはり発ガン性染料が使用されていたことが判明したケースもあった。

 衣料品によって健康被害を受ける。これもまた、中国では日常茶飯事なのだ。

 他にも本書では、「急増するエレベータでの死亡事故」や「暴力が横行する中国刑務所の実態」など、さまざまな事例が紹介されている。そしてもちろん、いま話題の「新型コロナウイルス」についての言及も。

 ただし、これはあくまでも著者である孫さんの目線で切り取られた中国の姿だ。孫さんは中国出身者だからこそ、その真実を知ってもらいたいという狙いで本書を発表したのだろう。それは否定するものではない。

 とはいえ、重要なのはその先だ。中国の実態を知り、それを理由に彼らを特別視するのではなく、背景になにがあるのかを理解しようとすることが大切なのだと思う。食品を偽装した理由、日本とは著しくマナー意識が異なる理由、衣料品のコストを下げなければいけない理由。本書はそれらを考えるきっかけとして読んでもらいたい。