【休校中のお子様にも】コアラが1日20時間近く眠る切ない事情とは。「動物」×「夜」の図鑑にワクワクが止まらない!

暮らし

更新日:2020/3/12

 続々と新刊が登場している、子ども向けの「いきもの図鑑」「いきもの事典」。

 さまざまな切り口で生き物を紹介したこれらの本は、子どもたちに人気の一大ジャンルとなっているが、またまたユニークな1冊が登場!

 生き物たちが夜中には何をしているのか、意外に知らない姿をまとめた『夜のいきもの図鑑』(主婦の友社)。

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『夜のいきもの図鑑』(今泉忠明/主婦の友社)

 夜行性動物のびっくり生態や、さまざまな生き物のおもしろ寝相などイラストも満載で、絵を見るだけでも楽しい。

 子どもたちは、「動物」「生き物」はもちろん、「夜」「暗闇」も大好物。ワクワク、ドキドキ読めることまちがいナシ!

コウモリ、カピバラ、ハムスター・・・夜行性の習性もそれぞれ

 夜行性動物の代表といえばコウモリ。吸血鬼のイメージもあるが、実際に血を吸うその名も「チスイコウモリ」という種類がいる。彼らは夜中にこっそりウシやウマなどに忍び寄り、体に取り付いて血を吸うブキミな生き物。しかし、血を吸ったあとは体が重くなって飛べず、這って逃げるというのが何ともオマヌケなのだ。

 チスイコウモリ以外のコウモリも、おしっこが出ないと体が重くて飛べなくなるという、人知れぬ苦労をしているという。

 意外な夜行性動物としては、カピバラがいる。

 野生のカピバラは牧草を盗み食いするのだが、牧場主に見つかると追い立てられてしまう。そのため、夜に忍び込んでゆっくり食事をする習性なのだ。

 ぬぼーっとお風呂につかっている様子が癒し系などと毎冬のニュースにもなる彼らだが、なんと時速50キロで走れて、逃げ足も自動車並みに速いと聞くと、なんだかだまされた気分になるのは人間の勝手だろうか。

 身近な夜行性動物といえばハムスター。飼っている人なら、夜中に彼らが回し車をグルグル回しているのをフシギに思ったことがあるのではないだろうか。

 野生のハムスターは、食べ物を求めて夜中に移動する習性がある。その距離はひと晩で数キロにも及び、人間に置き換えるとフルマラソンを走る以上だとか。ペットのハムスターにもその習性が残っていて、夜に回し車を回すのは長距離を移動しているつもりらしい。

 しかし実際には同じところを延々回っているだけ・・・なんだか切ない習性でもある。

睡眠時間が長いのはコアラ、夜も眠れないのがキリン

 夜行性の生き物もいれば、とにかくよく寝る生き物もいる。

 睡眠時間が長い生き物としては、コアラが有名。なんと24時間のうち、18~20時間は眠っているという。

 木にしがみついて眠っている姿はかわいいと人気だが、そこにも切ない事情があるのだ。

 彼らの主食とするユーカリは毒素が強く、食べると体に毒素がたまっていく。毒素の分解にはエネルギーを使うので、コアラは昼夜問わず眠ってエネルギー消費を抑えているのだ。

 長時間眠るコアラに対し、短時間睡眠で有名なのはキリン。

 キリンは首や足が長い分、折り曲げて眠ると起き上がるのに時間がかかってしまう。そんなとき肉食獣に襲われたらひとたまりもないので、野生のキリンは立ったままの睡眠が基本。夜も10分ほどの短時間睡眠をちょこちょことるだけで、あわせても1日2時間ほどしか眠らないという。

 動物たちは、眠れても眠れなくてもタイヘンなのだ。

仲間と手をつないで寝るラッコ、半脳ずつ眠れるイルカ、寝ぼけるセミ

 寝方がかわいいのはラッコ。

 野生のラッコはジャイアントケルプという長い海草を体に巻き付け、夜寝ている間に流されるのを防ぐ。でも、海草がない水族館では? 仲間のラッコと手をつないで眠る姿も見られる。一見、仲良しペアのようだが、実はお互い海草代わりのストッパーだったりもする。

 びっくりな寝方をする動物といえばイルカ。

 イルカは哺乳類なので水中で息はできず、水面で息継ぎをする必要がある。完全に眠ってしまうとおぼれ死ぬので、脳が片方ずつ眠る「半球睡眠」ができるようになっている。飛びながら眠る渡り鳥などもこの半球睡眠ができるというが、たまにうっかり「全球睡眠」してしまい、墜落しそうになって起きる鳥もいるのだとか。

 びっくりといえば、昆虫にも寝ぼけるヤツがいるということ。

 セミは昼行性で、オスは昼間鳴いてメスを呼ぶ。でも、夜に「ジジッ!」という、セミの短い鳴き声を聞いたことがある人も多いのではないか。あれは寝ぼけ鳴きだという。

 夜も明るいところが多くなり、温暖化で夜もますます暑くなってきて、昼夜の区別がつきにくくなってきた昨今、寝ぼけたセミを笑うのは気の毒だったりもする。

 そんなこんなのおもしろネタがぎっしりで、夜に活動する生き物、眠っている生き物、それぞれの生態やヒミツがわかってワクワクする本書。漢字にはルビが降ってあるので、低学年でも読める。
内容を楽しむのはもちろん、自由研究や発展学習などの素材としても使える!