おこもり生活にもぴったり! 「自家製絶品おつまみ」で世界を旅する【作ってみた】

暮らし

公開日:2020/3/15

『世界のおつまみ図鑑』(マイナビ出版)

 自宅でお酒を楽しむ機会が増えたという人も多いかもしれない。お酒を飲む時にちょっとしたおつまみがあると、その楽しみは何倍にも膨らむ。おつまみが美味しいというのもあるが、お酒とおつまみのマリアージュを楽しむことで、1種類のお酒がいくつもの感動を与えてくれるからだ。また、お酒が飲めない人がいる時にもおつまみはその場をうまくつないでくれる。食べものを口にすることで、お酒のアルコールから胃の粘膜を保護することにもつながるそうだ。おつまみは、一石二鳥にも三鳥にもなるのだ。
 
 さまざまなお酒が世界中で愛されているように、お酒に合わせるおつまみも世界各国で色がある。『世界のおつまみ図鑑』(マイナビ出版)は、56の国と地域で親しまれているおつまみを100種類厳選し、紹介する図鑑。巻末には実際に作って食べられるようレシピも掲載されている。
 
 ここまで書いておいてなのだが、実は筆者、お酒はあまり強くない。だが強くないからこそおつまみは必須であり、お酒を飲む時は必ずおつまみもセットだ。世界で食べられているおつまみがどんなものなのか非常に気になる。食べてみたい…。そこで、日本のおつまみ代表として紹介されているものや、気になった世界のおつまみを実際に作ってお酒と一緒に味わってみた。

まずは日本のおつまみ「アジのなめろう」(本書172~173ページ)


【合うお酒】ビール、日本酒、白ワイン、ラム

 まずは「アジのなめろう」から。作り方は、3枚おろしにして小骨と皮をとったアジ、生姜、ねぎ、大葉、味噌をすべて合わせて包丁で叩くだけ。魚がさばけない人はお刺身用を使用すれば5分ほどで完成する。お酒は日本酒を合わせてみた。
 
 脂ののったアジのねっとりとしたうまみと味噌の塩気、生姜やねぎの爽やかさからなる複雑な味わいを、日本酒がスッキリとまとめ上げてくれる。なめろうは、元々漁師たちが漁船で釣ったばかりの魚をたたいて作った料理。食べた人が美味しくて皿までなめたことからこう呼ばれているそうだ。少し荒っぽい調理法でありながら魚の魅力を知っていないと生まれないであろうこの組み合わせは、日々魚と向き合う漁師だからこそ思いついた組み合わせなのかもしれない。

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ギリシャのおつまみ「ムサカ」(本書160~161ページ)


【合うお酒】ビール、白ワイン、ウーゾ、焼酎、ハイボール、ラム

 2つめは、ギリシャのおつまみ「ムサカ」。薄切りにしたナスを焼き、耐熱容器にホワイトソース、ナス、ミートソース、ナス、ホワイトソース、ピザ用チーズ、粉チーズの順に重ねて200度のオーブンで15~20分焼けば完成。お酒は白ワインを合わせてみた。
 
 ミートソースの肉々しさと程よい酸味、ホワイトソースの深いコク、チーズのうまみと塩気が絶妙なバランスを生み出している。少しこってりとした組み合わせなので、さっぱりした白ワインが良い塩梅に合う。ムサカは「冷やしたもの」という意味で、元々は冷まされて冷菜として食されていたそう。しかし今は特に冷やすという工程はなく、あつあつのままで大人も子どもも楽しめる1品だ。

ブラジルのおつまみ「バカリャウ」(本書164~165ページ)


【合うお酒】カシャーサ51、焼酎

 最後は、ブラジルのおつまみ「バカリャウ」。塩コショウをまぶしたタラをこんがり焼き、みじん切りにした玉ねぎ、アンチョビを加えて炒める。玉ねぎに火が通ってきたら、ケッパー、トマトソース、コリアンダー、オレガノ、オリーブを加えて2分ほど煮詰めれば完成。お酒は焼酎を合わせてみた。
 
 スパイスやアンチョビ、オリーブとトマトで味付けされているので、塩気と酸味がきいていてパンチのある味わい。単体で食べてももちろん美味しいが、ここにちょっとフルーティでほのかな甘みのある焼酎を挟むことで「より完成された味」へと昇華する。ブラジルはカトリック圏なので肉食が禁じられている期間がある。その間の保存食として重宝されているタラの塩漬けを使って作るのが、この料理なのだそう。

 日本で親しまれている「なめろう」も、ギリシャの「ムサカ」もブラジルの「バカリャウ」も、お酒とセットで味わうと新しい顔を見せてくれる、というのがはっきりと伝わってきた。本書でレシピが掲載されているのは10種類だが、ほかのさまざまな国のレシピも特徴や歴史、豆知識、合うお酒、使用されている主な材料と調味料など詳しく紹介されている。
 
 さらにお酒に合うおつまみ缶詰の解説や実際のバルで提供されている料理、おつまみを楽しむテクニックなど、「図鑑」ならではの深い情報がたっぷり。見ているだけでも無性にお酒とおつまみが欲しくなってくる。ぜひこの『世界のおつまみ図鑑』で歴史をと文化を感じながら、世界を味わってみては?

調理、文=月乃雫