3人に1人が失業? 10年後に消える仕事、これから増える仕事を一挙整理!

ビジネス

公開日:2020/3/16

『10年後に食える仕事 食えない仕事』(渡邉正裕/東洋経済新報社)

 セルフレジやコールセンターのAI応答、巨大倉庫内で商品を運ぶ輸送マシンなど。ITやAI、ロボットによる効率化は私たちの身近なところまで迫っている。だがその一方で、「いつか自分の仕事もAIやロボットに奪われてしまうのでは?」と、不安を抱く人もいるのではないだろうか?
 
『10年後に食える仕事 食えない仕事』(渡邉正裕/東洋経済新報社)は、ニュースサイト「MyNewsJapan」の編集長・渡邉正裕氏が、テクノロジー進化を踏まえた職業の未来予測をもとに、どのようなキャリアシフトをしていくべきかを論じる1冊。本書を読み進めれば、「10年後、どんなスキルが必要となるのか」を自分の頭で理解できるようになるはずだ。

10年後に「消えていく仕事」とは?

 テクノロジーの導入で、10年後にどんな仕事が消えていくのか。渡邉氏は、「イレギュラーな事態が起こりづらい、単純作業の仕事」が該当すると指摘している。たとえば、水道・電気・ガスの検針員や鉄道運転士、長距離トラック運転手など。
 
 また渡邉氏は、デジタル化や自動化による失業を「ロボティクス失業」と呼び、この先10年に向けて個々で対策を立てる必要があると語る。本書によれば、このロボティクス失業の対象になる日本の労働者は、なんと全体の28.5%! これを含めて3分の1近くもの人が失業してしまうかもしれないというのだから驚きだ。

 すでに現在、さまざまな職業でデジタル化や自動化が進んでいる。失業の危機は先に述べた職種だけでなく、どんな仕事であっても起こりうる。一人ひとりが対策を怠らないことが肝要ということだ。

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ロボティクス失業しないための有効策は?

 それでは、機械に仕事を奪われないために何が必要か。それは、機械が持っていない「人間の強み」。その5つがこちらだ。

1.創造…ゼロから1を生み出す発想力(小説家、漫画家、作曲家など)
2.感情…いわゆる「おもてなし」スキル(ウェイター、ホテルスタッフ、CAなど)
3.信用…顧客の懐に入り込むスキル(記者、弁護士、カウンセラーなど)
4.手先…機械では真似できない手作業(農業、清掃員、寿司職人など)
5.ボディ…肉体派の仕事(警察官、消防士、自衛隊など)

 機械が人の心の機微を理解して、物語や音楽を作るのは難しそうだし、人生を左右するような相談は、機械相手よりも人と顏を合わせてしたい、というのが人情だろう。テクノロジーが進化しても、これらの要素を持つ仕事はまだ人間にしかできない。ここで挙げているのは一例なので、詳しく知りたい方はぜひ本書をくまなくチェックしてほしい。

 人間の強みを生かした仕事は今後も残り続ける。だが、それだけでは安定して仕事を続けていくのは難しい。渡邉氏曰く、人間の強みを生かしつつテクノロジーを導入することが最強の対策なのだそう。ITの演算能力とAIによる学習・分析能力、ロボットによる高速作業。加えて、“人間らしさ”という強みをミックスすれば既存の職業の市場価値が高められるという。
 
 たとえば教育現場では、学生の回答をAIが解析し、苦手を克服できる基礎問題を出題してくれるシステムが導入されている。苦手の発見は機械、克服する努力は人がバックアップすることで、生徒が効率的に学習できるようになる。

 ここで紹介した他にも、今後生まれる新しい仕事や増えていく仕事、キャリアチェンジの具体例などの情報を本書では紹介している。春を迎え心機一転という気持ちを抱える今だからこそ、新社会人や転職を考えている人、そして今の仕事でもっと大きな飛躍を目指したいという人に読んでいただきたい1冊だ。

文=冴島友貴