営業マンはもういらない!? 今後営業が生き残るための3つのアドバイス

ビジネス

公開日:2020/3/16

『営業はいらない(SB新書)』(三戸政和/SBクリエイティブ)

 通販サイトユーザーならだれもが、「あなたへのおすすめ」に代表される、巧みなレコメンド機能に釣られた経験があるだろう。

 そう、通販サイトにとってレコメンド機能とは、ユーザーのかゆいところに絶妙に手が届く、まさにスゴ腕営業マンなのだ。

 このように、営業マンが担った業務を支援、もしくは代替し、効率よく成果につなげるテクノロジーやツールが、近年注目されている「セールステック」だ。

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『営業はいらない(SB新書)』(SBクリエイティブ)の著者、三戸政和氏は、今後より多彩なセールステックが企業に普及することが主因となり、「10年後には営業という概念はなくなっていると確信している」と本書で明言する。

「過大な売り上げ目標とノルマ」という誤った営業戦略や経営戦略

 これまでにも、『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社)などの著書で、時代の変化を見据えたサラリーマンの働き方、スキル&キャリアアップを啓もうしてきた三戸氏。

 本書では、なぜ今後10年間で「営業はいらなくなるのか」、その理由を多角的に検証して解き明かし、「営業人材が目指すべきこれから」をアドバイスしている。

 冒頭では、さまざまなデータを提示しながら、ノルマや飛び込み営業、テレアポに代表される、日本型営業のデメリットについて触れる。

 特に印象的なのが、近年社会問題となったかんぽ生命の不正販売の事例だ。

 不正の根幹には、「過大な売り上げ目標とノルマ」という誤った営業・経営戦略があるという。さらに、かんぽ生命が不正があったにもかかわらず、2020年3月期決算を増益予想へと修正したことに触れて、著者は営業自粛によって「営業マンが動かなかったこと」が、逆に成長につながったことを指摘する。

高級車なのに「完全オンライン販売」へとシフトするテスラ

 次に国内外の成長企業の中でも、営業に頼らないビジネスモデルを数例挙げながら、学べる要素を提示していく。例えば、日本では営業マンや販売ディーラーを必須と考える自動車業界。著者は、シリコンバレーに拠点を置くテスラと対比する。

 テスラは高級車メーカーだがその成長は著しく、2018年アメリカでの販売実績の世界ランキングで15位と三菱やボルボをしのぐという。

 特徴的なのが、広告などの販促経費は一切かけず、販売拠点も縮小し、昨年2月より「全販売オンライン化」に向けて動き出しているところだ。

 その目的は、余計な経費を極限まで削減することで、さらなる製品の低価格化を実現させるためだという。

企業が成長するカギとなる「エクスペリエンス優先型の発想法」

 成長企業が示唆するのは、大量の営業マンが必要だった「大量生産、大量消費」時代のビジネスモデルからの脱却、そして、少数精鋭の製品やサービスを少数精鋭のスタッフで提供し、効率的にユーザーに届けることの重要性である。

 もちろん、その数少ない製品・サービスには、テスラやアップル、スターバックスのように、営業マンの働きかけがなくても、ユーザー自らがアクションを起こしたくなるような魅力が不可欠となる。

 こうした、ユーザーが得られる「体験」や「感動」を想像しながら、魅力あふれる製品やサービスの開発にあたることを、著者は「エクスペリエンス優先型の発想法」と呼び、企業が成長する重要なカギになると指摘する。

 そんな魅力づくりを少数精鋭のスタッフで行うため、従来のような非効率な営業マンを配置する余裕はもはやない、のである。

足で稼ぐ営業から「進化型インサイドセールス」へ

 では営業マンはどうなるのか。その答えが「進化型インサイドセールス」だという。これは主に、MA(マーケティングオートメーション)、SFA(セールスフォースオートメーション)、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)と呼ばれる3つの最先端セールステックツールを、社内で駆使する営業活動だ。

 つまり時代は足で稼ぐ営業(アウトサイドセールス)から、社内でテクノロジーを活用する営業へとシフトしていて、今後、営業人員は大幅な削減傾向になるという。

 では、営業職に適性を感じている人はどうすればいいのか。著者からのアドバイスは、主に3つある。

① セールステックを使いこなし自らのセールスの成績を底上げする。
② セールステックを使いこなすセールスチームの指揮官になる。
③ 営業職から離れ自ら戦略を立てられる新たな地位に就く。

 各詳細はぜひ、本書に学んでほしい。

 本書には他にも、さまざまな企業のビジネスモデルや先端セールステックの実例が紹介されている。製薬会社の営業であるMR職でさえ、今やセールステックが代替しているという現状は衝撃的だ。

 本書は、営業職を切り口に、企業経営の在り方にも言及している。営業や就活生だけでなく、経営幹部や起業を目指す人たちにもぜひ、読んでいただきたい1冊だ。

文=町田光