今世界に何が起きているのか? 平均気温が4℃上昇した「戦慄の未来」を私たちは知るべきだ!

暮らし

2020/3/30

『地球に住めなくなる日 「気候変動」の避けられない真実』(デイビッド・ウォレス・ウェルズ:著、藤井留美:訳/NHK出版)

 今、世界はCOVID-19の大混乱の中にある。現在、各国がこぞってウィルスの封じ込め作戦に出ているが、未知のウィルスはひとたび流入すれば国境もバリアにならなければ、政治的な駆け引きも意味をなさない。まさに人類が総力をあげて立ち向かうべき「地球規模の脅威」なのだ。

 ほんの数ヶ月前までの世界では、そうした「地球規模の脅威」は地球温暖化による「気候変動」だった。もちろん現在だって何も解決したわけではなく、今この瞬間もジリジリと危険な方向に動き続けている(この春の桜前線のおかしな動きも地球温暖化による記録的な暖冬のためらしい)。

 だが、私たちはこうした現実を軽く見て、対処を先のばしにしてはこなかっただろうか。皮肉なことに、未知のウィルスがそうした脅威へのグローバルな連帯を意識させてくれる現在こそ、未来に向けて何ができるのかを真剣に考えるべきだろう。

 折しもニューヨーク・タイムズ2019年ベストセラー1位に輝いた『地球に住めなくなる日 「気候変動」の避けられない真実』(デイビッド・ウォレス・ウェルズ:著 藤井留美:訳/NHK出版)の待望の翻訳本が登場した。福岡伸一氏、坂本龍一氏、荻上チキ氏らが絶賛コメントを寄せる本書は、今世界に何が起きていてそれが我々の社会をどう変えてしまうのか、膨大な調査を基に冷静に描き出す。その戦慄の未来はまさに私たちへの警告だ。まずはひとりひとりがしっかり「現実認識」することから始めたい。

異常気象を作り出したのは、私たち自身!

 一般に知られるように地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスは、化石燃料を燃やして排出されたもの。産業革命以降、こうした温室効果ガスは徐々に積み上がってきたが、実は危機的な状況に一気に押し上げたのは1989年以降。たった30年ほどで現在の二酸化炭素の量の半分以上を発生させてしまったことになる。ちなみに気候変動について最初の警告があったのは75年ほど前であり、私たち自身を含む、今生きている世代が一気に地球を破滅の道に押しやったのだ。私たちが意識を変えることは、こうした歴史から考えても「当然」の責務だろう。

温暖化は未来の脅威ではない!

 温暖化は遠い未来のことではない。早ければ2030年には気温は1.5℃上昇し、無策のままだと今世紀末には4℃程度上昇すると国連は予測する。温暖化は海面上昇だけでなく様々な複合的危機をもたらす。例えばアメリカ西部の山火事は16倍に増加し、浸水地域が続出、インドから中東の人口数百万規模の大都市では夏の外出は命がけになる(こうした変化はたった2℃の上昇でも起きるという)。また地球規模の食糧危機、感染症の拡大、酷暑関連死の増大、戦争や紛争の増大など、待ち受けるのは恐ろしい予測だらけだ。

現実を知ること。意識すること。

 淡々と悲惨な未来図を描く本書だが、何も「衝撃の新事実」で読者を揺さぶるわけではない。いずれもすでに発表されてきたことばかりだが、人々があまり真剣に考えてこなかっただけであり、まずは目を逸らさずに現実を受け止めることが大切だと著者は説く。気候変動が数十年もすれば深刻なことになるのは確実だが、だからといって諦めたり屈したりしていいわけがない。ある環境保護活動家が「画期的な解決策も大切だが、ひとりひとりが日常のなかで、少々ゆるいやりかたで地球破壊をやめることも可能だ」とメッセージするように、現実を知り意識することでも「変化」は始まる。

 現在、世界規模の活動自粛で地球の空や水が綺麗になったと報じられている。前向きに発想転換するなら「限りなく温室効果ガスを抑える暮らしのグローバルチャレンジができた」ということ。大事なことは、この混乱が終息したのちにこの貴重な経験をどう活かしていくかだ。本書の警告を胸に、ひとりひとりが自らの暮らしから未来を注視していきたい。

文=荒井理恵

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