この週末は「家で旅行気分」! 好奇心旺盛だけど旅行下手な漫画家たちが記憶を綴る

マンガ・アニメ

2020/3/28

『まんが家女子、旅に出る。』(COMICポラリス編集部:編/フレックスコミックス)

 行ったことのない町に足を踏み入れる瞬間はいつもワクワクする。初めて見る景色、見知らぬ人々。疲れることもあるけれど、非日常を味わえる旅行はやっぱり楽しい。
 
 そんな旅行だが、しばらく予定が立てられないという人は多いだろう。新型コロナウイルスのせいだ。人混みを避け、休日でも家にこもりがちに。家でDVDを観たり読書したりする時間も楽しいけれど、そろそろ旅に出たくなる。一期一会の新鮮な経験を楽しみたい…。
 
『まんが家女子、旅に出る。』(COMICポラリス編集部:編/フレックスコミックス)は、そんな気持ちにこたえてくれる旅行レポ本だ。各地に旅する数ページずつのレポートが詰め込まれたエッセイコミックで、総勢15名の好奇心旺盛な漫画家たちが旅の記録と記憶を綴る。

 作中の「熱烈歓迎!函館タクシーツアー」では、作者は貸し切りの「土方歳三ツアー」に申し込む。北海道は広いのでタクシーで回ることができるのは便利そうだ。旅行プランについてはお任せで色々なところを回ってくれるというのだが…

・なぜか函館の町内会長がわざわざあいさつに来てくれる
・彼もそのまま同じタクシーに同乗する

 と、冒頭から予想外の出来事が連発する。その後も客よりも数の多いガイドの登場や町内会長が途中下車するなど、突っ込みどころ満載の展開に。五稜郭や土方歳三の墓といった「普通の土方歳三ツアー」の見どころよりも、次々と登場するおじさんたちのインパクトのほうが上回る。作者は「いつもと違う場所で違う人とふれあう、それも旅の醍醐味なのかも」と結ぶ。

 有名な観光スポットを見て回るのももちろん楽しいけれど、旅先での愉快な人との出会いの方が印象に残る。そんな経験、皆さんにもあるのではないだろうか?

 あまり旅慣れていないという漫画家たちが旅行体験を綴るというコンセプトだけに、「遅刻してしまい飛行機を乗り逃がした…」といった、旅行初心者にありがちな失敗談もあるのがおもしろい。

 旅行に出ると必ずしも楽しいことばかりが起きるわけではない。間違えたり苦労したり、わざわざ行ったのに案外何もやることがなかったり。そんなときふと開けた旅館の窓の外に見える景色に感動したり…。そんな数々のドラマが起こることも旅行の楽しみだと本書は教えてくれる。

 ちなみに、旅行とはそもそもどういう意味だろう。『広辞苑』によれば、定まった地を離れて、他の土地へゆくこととされている。本書の中でも、「出先でちょっと神社に行ってみた話」や「月一で訪れる蚤の市の話」など、遠くに行くことばかり考えていた筆者のイメージを塗り替えるようなエピソードもあった。いつか行きたいと思っている場所は、意外とすぐ近くにあったりするものだ。

 新型コロナウイルスは、すぐには終息してくれそうにない。まずはおうちの中でゆっくりと、本書を通じて全国を旅してみてはいかがだろうか。

文=寿々

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