総合格闘家でYouTuberの朝倉未来選手が、強くあり続けられる理由

エンタメ

2020/4/5

強者の流儀

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
『強者の流儀』(朝倉未来/KADOKAWA)

“人間としては弱点だらけで、とても一人では生きていけない。それだけ脆弱な存在だと、自分では思っている”

 総合格闘家として強さを見せつけている朝倉未来選手が初の著書『強者の流儀』(KADOKAWA)のはじめに語るのは、弱さだった――。

 朝倉選手は「路上の伝説」とも称される。それは10代の頃、喧嘩が伝説的に強かったことで知られるからだ。“自分から喧嘩を売っていたつもりはない”と言う朝倉選手は、一方で先輩や暴走族から売られた喧嘩は必ず買い、相手を倒し続けた。そして暴走族に入り、さらに喧嘩を続け、バイクを乗り回していたが、次第に“人生がつまらなくて、いつ死んでも構わない”と思うようになっていた。

 高校入学後、少年院に収容された。日常から離れた時間を過ごすなかで、朝倉選手は格闘技の世界に興味を持ち、足を踏み入れることになった。

「THE OUTSIDER」や「RIZIN」で勝利を重ねた朝倉選手は、今では大晦日に地上波で中継される大きな試合を戦い、ファンを魅了している。

 今、朝倉選手は謝って済むことは謝るそうだ。そもそも争う必要がないから、「いったい何が悪かったんですか?」と聞いてしまうという。かつて路上で喧嘩に明け暮れた朝倉選手が、“なんでも腕力で解決しようとするのは視野が狭い”と断言するまでに至るには、どんな思考があるのだろうか。

 本書から知れることのひとつは、自分を客観視することだ。

 小学生の頃のエピソードは象徴的だ。親がビデオカメラを買ってきて、撮られた映像を見たとき、自分の認識と映像の中の自分が一致していないことに衝撃を受けたという。それ以来、自分を撮ることにハマり、逆立ちが曲がっていることを直したりしながら身体の動きを修正していったそうだ。朝倉選手のずば抜けた身体能力の由来が垣間みえてくる。

 他人の意見を聞くのは、朝倉選手の習慣だ。“他人の意見というのは客観的なので、映像を見たときと同じような効果がありました”と言う。注目を集めている朝倉選手のYouTubeチャンネルは、初めからチームを作って取り組んでいる。自らに忠実なメンバーだけでなく、敵対的な意見を言うメンバーも入れることで、企画の多様性を生み出しているそうだ。

 他にも、トレーニングが苦しいときは“体を乗り物だと思う”などの流儀が綴られる。自らを“脆弱な存在”と表現する朝倉選手の明晰な思考と行動は、学生やビジネスパーソンなどさまざまな立場の読者の役に立つだろう。

文=えんどーこーた

この記事で紹介した書籍ほか

強者の流儀

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784046046963