エロコンテンツが性の入り口になる前に…3~9歳のうちに家庭でできる性教育

出産・子育て

更新日:2020/4/1

今回の書籍の内容とこだわり

 防犯について熱く語ってしまいましたが、実際は性教育で学ぶ内容はとてもワクワクするおもしろいものです。アクロストンのワークショップやコンテンツでは「からだのしくみ」を知ることを大切にしていて、今回の書籍もその「からだのしくみ」が軸になっています。私たちは特にからだのしくみについて考えることなく日常を送っていますが、食べ物から栄養を吸収してそのカスがうんちになること、心臓が動いていること、血がめぐりめぐっておしっこになること、あたりまえのことが、実はとてもおもしろいのです。性の分野の「からだのしくみ」は、特におもしろいこと、ワクワクすることがたくさんあります。 今回の書籍もそのワクワクを子どもたちと共有することを大切にしつつ、こどもからの性に関する質問、保護者が困っていたり疑問に思っていたりすることをQ&A方式で解説しています。

 書籍は大きく3章に分かれています。第一章『こどもの性の疑問にあいまいに答えていませんか?』では「赤ちゃんってどうやってできるの?」「ママのおまたから血が出てるの、なんで?」といった子どもからの素朴な疑問に、丁寧に答えました。内容は「からだのしくみ」がメインであり、図もたくさん使って、受精、妊娠、分娩、生理などをわかりやく解説しています。第二章『親の悩みや疑問にお答えします』では、性器の洗い方、おちんちんの皮について、性器いじりについてなど、私達がよく相談される内容をまとめました。「セックスを子どもに見られたら?」という切実な悩みにもお答えしています。第三章『いまの時代の性をごまかさずに伝えよう』では性的マイノリティについて、性的なコンテンツや性暴力についての現状や私達が考えていることを書きました。私達の考えが正解というわけではありませんので、お子さんやパートナーと話し合うきっかけにしていただけると嬉しいです。

 他には私達のワークショップレポートやnoteの転載などもあります。

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 今回の書籍は本のタイトルにあるように、3~9歳の子を持つ保護者向けの本ではあるのですが、他にもこんな方向けでもあります。

・性に関するからだのしくみを知りたい方
・性教育をはじめたいのだけれど、どんな話をしていいのかわからない方
・性についての対話をはじめたい方
・おしゃれな性教育の本が欲しかった方 などなど。

 性に関することは大人の方も知らないことが多く、アップデートしたほうが良いこともたくさんあります。ですので、保護者の方でなくても参考になる書籍かと思います。また、お子さんと一緒にひろげて見る図も入っています。ポップなクラフト写真も満載ですので、パラパラめくってワクワクしていただけたら嬉しいです。

 また、今回の書籍で特にこだわったところは「おしゃれに」と「対話」です。これはアクロストンのワークショップへのこだわりと一緒です。「おしゃれに」というのは、リビングにかざりたい!カフェで読みたい!と思える本であること。性の話は日常生活の中にあるものなので、かしこまった本でも、子どもじみた絵の本でもなく、おしゃれな本であることをめざしました。アートディレクターのholiday堀出さんにそのあたりを叶えてくださる素敵なクラフト作品を多数作っていただいたことで、飾りたくなるページ、開きたくなるページがたくさん入っています。

「対話」というのは、とにかく子どもやパートナーと話をしてほしいということです。性教育であれ何であれ、0歳で△△をしましょう!女の子にはコレ!男の子にはコレ!と年齢や性別で決めてしまうものが世の中にはたくさんありますが、本来はそんな簡単な話ではありません。年齢による発達の目安はありますが、一人の子でもひとつひとつの事柄に関する発達の程度はバラバラです。性別に関しては、そもそも生まれ持ったからだの性別自体も不確かですし、様々な項目においてもそれぞれグラデーションです。年齢や生まれ持った性別にとらわれずに、こども自身の気持ちや考え、パートナーの気持ちや考え、自分自身の気持ちや考えをとことん話し合って、各家庭オリジナルの性の話をすすめてほしいので、対話のヒントになることを願って本をつくりました。

 そして何よりも、性の話っておもしろい!という私達自身のワクワクが読んでいる方に伝わるといいなと思っています。性教育はおもしろく、しかも自分の人生を豊かにしてくれるものです。不安にかられて、あるいは義務感のみで性教育をするのはもったいない。性教育を始めたきっかけは不安や義務感だったからだとしても、学んでいくにつれ、おもしろさやワクワクがこどもにも大人にもうまれますように。「赤ちゃんはどうやってできるの?」とタイトルに入ってはいますが、セックスの話をどう伝えるかにとらわれるのではなく、不安にとらわれ続けることもなく、人生を豊かにしてくれる性教育をぜひ一緒にはじめましょう。

記事提供:note

「著者プロフィール」
妻のみさとは産業医、夫のたかおは病理医をしながら、2018年に“アクロストン”としての活動をスタート。公立の小学校の授業や企業主催のイベントなど、日本各地で性にまつわるワークショップを行う。自らも子育てをしながら、noteで日々の活動や知識などを発信している。

「新刊のおしらせ」
3~9歳ではじめるアクロストン式
赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A
発売日:2020年4月1日
定価:本体1400円+税
仕様:A5変型版160ページ
発行:主婦の友社