「スマホ育児」は悪くない! 小児科医ママの著者が子育ての非難・デマを一蹴

出産・子育て

2020/4/1

『子育てはだいたいで大丈夫』(森戸やすみ:著/内外出版社)

 赤ちゃんという存在は、たくさんの「幸せ」と一緒にたくさんの「悩み」も連れてくる。なかなかおっぱいを飲んでくれなかったり、泣き止まなかったり、全く寝てくれなかったり…想像とは違う育児のリアルは戸惑いの連続で、さらに世間は「スマホ育児は問題アリ」「3歳まではママと一緒がいい」「電車にベビーカーなんて非常識!」と、バッシングの追い打ちをかけてくる。真面目なママほど「私にちゃんと子育てができるの!?」と悩んでしまいそうだが、そんな時には新刊『子育てはだいたいで大丈夫』(森戸やすみ:著/内外出版社)を読めば、心が少し軽くなるかもしれない。

 本書は「日々子育てに奮闘しているみなさんを少しでも元気付けられたら」と願う小児科医ママの著者が、朝日新聞の医療サイト「アピタル」で連載した内容をまとめたもの。世間が勝手に押し付けてくる「子育ての常識」に疑問を呈し、多くのママが抱えがちな育児の悩みに丁寧に答え、困った時に頼るべき相手もアドバイス。ポイントはしっかりわかりやすく押さえてあるので大抵の悩みは解決できるし、何より専門家なので信頼度もバツグンだ。著者がおすすめするように「他人から理不尽に責められたとき、不安になったとき、疲れたとき、イライラしたとき、自責の念にかられたとき」には一読を。とにかく自信を取り戻そう。

 たとえば「スマホ育児」は「親が子育て中にスマホを見ること」と「子守にスマホを使うこと」の両方を指すが、どちらにしても世間では非難されがちだ。なぜかこういう時のスマホはゲームなど「遊ぶもの」として捉えられがちだが、実際は育児の疑問解決や必要な生活情報の検索にも使われるものであり、育児中であっても必要だから利用しているのだ。また、電車など公共の場で子供が騒いで周りからのプレッシャーに生きた心地がしない時、スマホで子供が静かにしてくれるなら本当に助かる。同じママでもある著者はそんな状況に寄り添い、もちろんスマホ育児を否定しない。むしろ「親がゲームやSNSで息抜きをしたっていい」と共感し、小さな子を持つ保護者に意味のない罪悪感を持たせる社会について危惧するのだ。

 あるいは「よくある子育てのデマ」として、ワクチン接種に抵抗感を持つ保護者に向けてもメッセージ。実は「ワクチンは怖い」と接種をしない親が増えたことで、2015年にWHOから「日本では排除状態にある」とされていた麻疹が2019年から増え始めているという。またおたふくや水ぼうそうなどの感染症は、かかった子から自然に感染させて抗体をつけようとする「感染パーティ」をする保護者もいるとか…。そんな状態に警鐘を鳴らす著者は、当然ながら専門家の立場からワクチンの必要性と安全性をきっちり伝授。不安を感じていればこそ、ぜひ「正しい情報」を得てほしい。

 いまどきはスマホ一つで様々な情報が調べられるが、ネットに転がっている育児や健康情報は玉石混淆。古い知見や出所不明のエセ科学まがいの情報でも、困っている時は信じてしまいがち。本書には正しい情報の見つけ方やおすすめサイトの情報、医者の利用の仕方についてのアドバイスもあり、より確実に「正しい」情報にたどり着くようサポートしてくれるのが心強い。

 なおタイトルにもあるが、子育ては「大体でいい」というのは忘れないようにしたい。神経質になればなるほど赤ちゃんにそれが伝わって不安定になってしまうし、何より育児が辛くなってしまう。育児のポイントを大体を把握しておけば、大抵のことは大丈夫。何よりリラックスして育児を存分に楽しもう!

文=荒井理恵

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