【ネタバレあり】『ONE PIECE 96』物語はついに核心へ! 光月おでんが海賊王と共に目にした世界の秘密――そのときゴールド・ロジャーは?

マンガ・アニメ

2020/4/3

『ONE PIECE 96』(尾田栄一郎/集英社)

 前巻から始まった光月おでんの物語。数百年間にわたって鎖国を続けるワノ国を飛び出し、世界を知りたいと願うおでんは、たまたま島に流れ着いた白ひげ海賊団の船長エドワード・ニューゲートと出会う。ひと悶着あった末、海賊団の一員となったおでんは、白ひげ一味と共に世界中を旅する。

 95巻を手に取った読者は、最後のページでワクワクドキドキが止まらなかったはずだ。たった1コマだが、海賊王ゴールド・ロジャーが登場したのだ。どんな展開が巻き起こるのか、2019年の年の瀬に居ても立ってもいられなくなっただろう。

 ここで断言したい。最新刊『ONE PIECE 96』(尾田栄一郎/集英社)は、その期待を大きく超えていく。

 ワノ国を出航して4年目のある日。ついにおでんは、とある島でゴールド・ロジャーの一団と巡り合う。このときすでに「寿命(おわり)」が近づいていたロジャーは、もう白ひげと会える機会が少ないことを予感して、白ひげ一味を迎え撃つことにした。

 その死闘が描かれたシーンはごくわずか。しかし固唾を飲んでしまう。見開きの2ページを凝視して、まばたきが止まってしまう。思い出してみれば、海賊王の戦闘シーンが描かれたのは初めてではないか。それもロジャー亡き後、「世界最強の男」の座に就いた白ひげを相手に。

 興奮冷めやらぬうちに、今度は別の展開へ移る。そういえば、すでに伏線は何度も張られていた。なんとおでんが海賊王のクルーに加わるのだ。

 光月家に伝わる一子相伝の暗号「ポーネグリフ(歴史の本文)」。当然子孫であるおでんは、世界政府に禁じられるポーネグリフを自在に扱える。つまりおでんがいれば、「ロードポーネグリフ」を読みとくことも可能であり、「莫大な財宝」が眠ると噂されるグランドライン“最後の島”へたどりつけるかもしれない。

 残り時間の少ないロジャーは、敵であるおでんに頭を下げて乗船を頼んだ。家族を奪われる事態に怒り狂う白ひげだったが、おでん自身がロジャーと旅することを望み、ついに物語は海賊王の船へ移る。

 そしてとうとう、海賊王一行は“最後の島”に到達する。空白の100年、Dの一族、古代兵器…。海賊王ゴールド・ロジャーたちと共に、おでんは世界に隠されたすべての秘密を知った――。

 私は先ほど「期待を大きく超えていく」と述べた。その根拠がこのシーンにある。最後の島で「莫大な宝」を目にしたロジャーの姿を描くこのシーンに、ワンピースの真髄を見た気がした。

 ワンピースにはいくつもの魅力がある。戦闘シーンに迫力がある、伏線回収が秀逸、キャラクターが魅力的。枚挙にいとまがない様々な要素をあわせもつワンピースだが、この作品の本質はもっと別のところにあるようだ。

 ワクワクドキドキこそワンピースの代名詞だが、このシーンではゾクゾクした。悪寒が走ったのではない。「そうきたか!」という驚きが極まって背筋がゾクゾクしたのである。もしかすると私だけだろうか。いいや、ルフィに言わせれば感想なんて「自由」だ。好き勝手に言えばいい。

 本稿では海賊王との物語ばかり取り上げたが、実はその裏で、ワノ国で激変が起きていた。黒炭オロチがワノ国を掌握するべく暗躍していたのである。世界の秘密を知った後、おでんはワノ国に帰還する。そして変わり果てた故郷の姿に仰天し、刀を手に取った。

 おでんの物語は完結へ向かう。将軍に成り代わったオロチの魔の手から国民を守るため、家臣たちを救うため、おでんの命懸けの行動にどんどん引き込まれていくだろう。

 ワノ国編に突入して以降、物語が加速しているように感じる。やはりワンピースが終着に近づきつつあり、私たち読者も世界の秘密に気づきつつあるからだろうか。もうロマンが止まらない。次巻が待ちきれなくて、また居ても立ってもいられなくなっている。

文=いのうえゆきひろ

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