シンデレラも一休さんも、みんな「ねこ」が好きだった! あの昔話にねこが加わった「もしも」の物語に癒される

マンガ

公開日:2020/4/14

『ねこむかしばなし』(ぱんだにあ/KADOKAWA)

 新型コロナウイルスの影響で、自由に外出もできずに息苦しい毎日を過ごしている人は多いと思う。そんな中でも日常の買い物は必要なわけで、私が近所のスーパーへ向かう際、日向ぼっこをしている一匹のねこを発見。のんびりあくびをしている姿を見て、なぜだか幸せな気持ちになれた。そう、ねこにはそういう不思議な力があるのだ。そんな「ねこパワー」が「昔話」で発揮されたらどうなるのか!? 『ねこむかしばなし』(ぱんだにあ/KADOKAWA)は、人々がよく知る有名な昔話にねこの要素が加わった、まさしく「ねこむかしばなし」なのである。

 本書は世界中の有名な昔話を題材に、そこへ「ねこが入り込んだら……?」という「もしも」を描いた4コマ漫画。基本的には「シンデレラ」などの作品で、特に知られた名シーンの中に「ねこ」が関わってくるというスタイルである。では一体、昔話とねこがどのような化学反応を起こすのか、いくつか例を挙げて見てみよう。

赤ずきん
 グリム童話などでお馴染みの物語。よく知られるシーンとしては、おばあさんに化けた狼の前に赤ずきんが無用心にやってきて、食べられてしまうところだろう。しかし、もしそこへやってきたのが赤ずきんではなく「ねこ」だったら……。なんと、ねこはベッドで横になっているおばあさん(のフリをした狼)の上に乗り、そのまま眠ってしまったのだ! その姿の愛らしさに、思わず狼も「まぁいいか…」と共に眠ってしまうのであった。ねこの愛らしさは、狼の食欲すらも凌駕するのだ!

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シンデレラ
 グリム童話など、世界中に派生作品のある有名な童話。もちろん最大の見せ場は、魔法が解ける12時の鐘が鳴り響く中、シンデレラが王子様の前から立ち去るシーンだろう。魔法が解ける前に急いで王子の前から走り去るシンデレラだが、実は急いでいたのには別の理由があり……。そう、その理由は、シンデレラには飼っているねこたちがおり、ねこたちに会いたくて堪らなかったからなのだ! ねこを飼っている人なら、シンデレラの気持ちがよく分かるのでは。

一休さん
 江戸時代の説話「一休咄」が原典で、これを原作にしたアニメもヒットした。よく知られるエピソードは、豪商の桔梗屋が店の前の橋に「このはしわたるべからず」という立て札を掲げると、一休は「はし」ではなく「真ん中」を堂々と通ったというもの。本来、この立て札は桔梗屋の意地悪で掲げられたものだったのだが……。本書では一休さんが橋の真ん中を渡っていたところ、橋の途中でねこの親子が寄り添っている姿を発見! ねこが親子でいる場合、出産直後であるケースも多く、親ねこの神経が過敏になっていることも。ねこの親子を騒がせたくないという桔梗屋の配慮に、思わずほっこりしてしまう一休なのであった。

 現在、動物園などの多くが休業を余儀なくされている中、動物の飼育動画などが配信されて人々を和ませている。ウチの近所のねこも人間の狂騒曲など「どこ吹く風」とばかりに、自由気ままなものである。実のところ、近所のねこは私にちっとも懐いてはくれないが、いるだけで癒される存在だ。もし近くにねこがいないというのであれば、ぜひ本書で癒されていただきたいものである。

文=木谷誠