人のことは嫌っていい。イヤな人から自分を守り、好きな人と「だけ」生きていく

暮らし

公開日:2020/4/24

『好きな人と「だけ」生きていく』(永松茂久/WAVE出版)

 人との距離感がこれまでとは変わってきている今、友達や家族、恋人などに対してネガティブな気持ちを抱き始める人が増えている。非常時に明らかになった恋人の価値観に幻滅したり、四六時中顔を合わせなければいけないパートナーにイライラしてしまったりしながらも、「常識」という枠からはみ出さないよう、憂鬱な関係に耐え続けている人は多いだろう。

 そんな今こそ、『好きな人と「だけ」生きていく』(永松茂久/WAVE出版)を手に取り、人間関係を見つめ直してみてほしい。本書はイヤな人に使う物理的・心理的時間をできる限り好きな人や好きなことに当て、ストレスのない人生を歩もうと訴えかける。

 そんなのは現実的に難しいに決まっている。そう思う方もいるだろう。しかし、実は無意識のうちに抱えてしまったしがらみを捨てれば、いとも簡単に「付き合う人は選べる」のだ。

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「好き」という感情は、人が生きる上で最も強いエネルギー。パフォーマンスを上げるだけでなく、心と体を健康にし、笑顔を生み出す。その笑顔で周りも笑顔になり、「幸せの連鎖」も起きる。人生を好転させるコツは付き合う人を選び、人間関係を変えていくことにあるのだ。

人のことは嫌ってもいい

 友達をたくさん作ろう。小さな頃からそう教育されてきた私たちは「みんなに好かれなければいけない病」に陥りやすい。人を嫌うことは悪いことだと罪悪感を持ってしまったり、苦手な人とも仲良くすべきだと思って疲れてしまったりする。感情を持つ人間なら誰かを嫌いになるのはごく自然なことなのに、仲良くできない自分が悪いと考えてしまう。

 この忙しい時代の中、私たちが大切にできる人など端から限られている。であれば、自分らしく自然体でいられる相手を大切にし、生きていったほうが楽しい。だからこそ、人間関係の悩みが付き合いの数に比例して増えていると感じた時はイヤな人とどう付き合うかではなく、好きな人と付き合う時間をどう増やすかに着目。この付き合いは本当に大切なのかと見直してみる必要もある。

 好きな人を厳選する際、ぜひとも取り組んでみてほしいのが3年後も一緒にいたい人を紙に書き出すワーク。

① 紙の真ん中に自分の名前を書く
② 名前を囲むように円を描き、その中に3年後も一緒にいたい人の名前を書く。(人数は20人から多くても30人)
③ 円の中が埋まったら、その外側にもうひとつ円を描き、その次に大切な人を書く。以下、これを繰り返す。

 本心を明確にするためにも、このワークは必ずひとりで行い、誰にも見せてはいけない。そして、半年に一度は円を見直し、書き換えていくことで自分の人間関係の変化も把握していこう。

 誤魔化してしまいやすい心の声に耳を傾け、見つけ出した「好き」。それこそが、自分を幸せに導いてくれる。

イヤな人から自分を守る4つの「さる」

 時には、どうしてもイヤな人と関わらなくてはいけない場面もある。そんな時は4つの「さる」で自分を守ってみてほしい。イヤな相手に対しては「見ざる、言わざる、聞かざる、その場を去る」を徹底するのだ。

 イヤな人を前にすると闘いたくなってしまう人もいるかもしれないが、相手のテリトリーから消え去り、攻撃を受けないようにするのが賢明。無理やり仲良くなろうとせず、必要最低限の話をする関係に留め、その人のために使う時間を徹底的に削除していこう。

 ただし、いくら相手のことが嫌いでも、それを人に話すのはNG。人の脳はイヤなことを話すと脳の中で再現されて記憶が強まってしまうため、余計に嫌悪感が増しやすくなるからだ。イヤな人ではなく、心が明るくなる物事や人に視点を向けるようにするという永松さんの処世術はドロドロした心を浄化したい時こそ、おすすめしたい。

 なお、本書には他にも、ストレスを消す時間の使い方や好きな人とだけ仕事をするコツなど、公私ともに心が楽になる発想法がもりだくさん。あなたは未来を、誰と生きたいだろうか。

文=古川諭香