居酒屋の驚きの歴史―居酒居はお酒を飲むためだけの場ではなかった!

小説・エッセイ

更新日:2012/6/19

居酒屋の世界史

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:下田淳 価格:648円

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「ドイツ農民戦争やフランス革命が居酒屋からはじまった」といったら、みなさん驚きますよね?
かつて、居酒屋は単にお酒を飲むところではなかったのです。農民や革命家は居酒屋で計画を練り、民衆に呼びかけたりしていたそうです。居酒屋はかつて、多くの機能を備えた場であったというから驚きです。

みなさんおなじみの居酒屋の歴史、それも世界史が分かるというのが、今回、私がダウンロードしてみました「居酒屋の世界史」という本です。

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・居酒屋が銀行や裁判所でもあった
・外科医が治療する病院にもなった
・居酒屋は売春宿であった
・教会でお酒が飲めなくなって、居酒屋が増加

こんな、ちょっとびっくりするような、かつて居酒屋が果たしていた役割等が、本書では紹介されます。ドイツ史の専門家である著者が、ドイツの民衆文化には必ずといってよいほど居酒屋が登場することから、さらなる興味を持ち、居酒屋の比較文化論を試みたのがこの本です。居酒屋の歴史を検証することで見えてくる、ヨーロッパ史の生の現場とその特徴についても語られます。ヨーロッパ以外の文化圏も比較の対象となっており、イスラム圏、中国、韓国、日本の居酒屋も登場するといった具合に盛りだくさんです。

「農村への貨幣経済の浸透」、「居酒屋の多機能性」、「棲み分け」という3つのキーワードを用い、前半では居酒屋の通史、後半では、テーマ別に居酒屋の役割が語られます。居酒屋といえども、奥が深いのです。この本を読めば「居酒屋博士」になれること間違いなし。お酒の席のちょっとした話題にも使えそうです。


著者はこの本で扱う「居酒屋」の定義を「金銭の見返りに酒類を提供する営業空間」としています

第1話は、「居酒屋の誕生期」について。メソポタミア文明、ハンムラビ法典といった単語が並び、ちょっと歴史の教科書のようですね