夫が在宅勤務でイライラ…コロナ離婚を考える前に身につけたい「負けるが花」精神

恋愛・結婚

更新日:2021/1/26

『誰にも言えない夫婦の悩み相談室』(小野美世/WAVE出版)

 新型コロナウイルス流行による環境の変化により、離婚を考える夫婦が増えている。女性向け総合メディア「Lip Top」が20~50代の男女100名に行った調査によると、約4割の人がコロナ離婚を考えたことがあるという。夫婦で過ごす時間が増えるとイライラが募り、世界的にDV(家庭内暴力)も急増している。収入減をきっかけに口論になり、殺人事件にまで発展したケースも報道された。

「明日は我が身……」と感じる女性に、オススメしたい本がある。『誰にも言えない夫婦の悩み相談室』(小野美世/WAVE出版)だ。著者はこれまで約3000人の女性にアドバイスをしてきた、パートナーシップと性のカウンセラー。著者のもとを訪れる相談者の多くが、負けず嫌いで、頑張り屋で、完璧主義で、どちらがより優秀か白黒はっきりつけたがるタイプだという。そんな女性たちに著者が提案するのが、「負けるが花」の精神。

 良妻賢母になるために頑張りましょうとか、何事も忍耐で乗り切るべきだという話ではない。自分の素直な気持ちに気づき、相手に差し出すことができるようになると、男性にバカにされないようにと戦っていたときよりも、自分の望んだものが手に入りやすくなるということだ。

advertisement

 例えば、夫が家事や育児を手伝ってくれないことにイライラすると、「あなたもやってよ!」「なんで手伝ってくれないの?」「どうしてわたしばっかり!」と戦闘モードになってしまいがち。この、イライラしているときに最初に出てくる文句を、著者は“灰汁”と呼ぶ。灰汁を取り除いたほうが料理が美味しくなるのは明らかだ。大事なのは、灰汁の下にある本当の気持ちに気づくこと。著者は相談者にこんな問いかけをする。

「あなたは、本当は、旦那さんにどうしてほしいの?」
「そしてあなた自身は、本当はどうしたいんだろう?」
「あなたは、どんな自分が出てこないように隠しているんだろう?」

 すると、「ひとりで頑張っていて心細い」「気に掛けてもらっていない気がして、寂しい」「本当は夫と一緒に助け合っている感じがほしい」といった素直な答えが出てくるという。この素直な部分を、「負けるが花」で夫に差し出してみよう。

「毎日、仕事と家事に追われて、それに子どものこともあって、もう疲れちゃった。ひとりで頑張ってるみたいで心細い……。頑張ったねって言って!」

「なんで手伝ってくれないのよ!」とは、聞こえ方がまるで違う。夫婦間の戦いをやめるには、妻が自分の本当の気持ちをよく見ることが一番大切だという。そして、単なる“灰汁”をぶつけるのではなく、その下にあるやわらかい気持ち・弱々しい本音のほうを、大切な相手に差し出していくことだという。

「負けるが花」の精神で、この不安な時代を、夫婦寄り添って乗り越えようではないか。

文=尾崎ムギ子