生きるのが楽になる「80パーセント幸福主義」って? 不満ばかりの自分がイヤになったら

暮らし

更新日:2020/5/15

『満足するコツ 「ありのまま」で幸せになる94のことば』(植西聰/自由国民社)

 生きていると、さまざまな“不満のタネ”に遭遇することがある。怒り、悲しみ、嫉妬といったネガティブな感情で心がいっぱいになると、私たちは自分自身や人生を悲観的に見てしまう。しかし、少しだけ考え方や心の持ち方を変えてみると、不満のタネも自分を満たすタネに変わる。『満足するコツ 「ありのまま」で幸せになる94のことば』(植西聰/自由国民社)は、そんな気づきをくれる1冊だ。

“自分の人生に、あるいは、自分自身という人間に、不満を抱いてしまうか、それとも心から満足するかは、その人の考え方次第です。”

 そう語りかける本書は偉人や著名人の名言、海外の昔話などを通し、さまざまな角度から自分を満たすコツをアドバイス。自分の手で生み出した満足感で自らを満たすことで、人生を好転させていこうと訴える。

 他人からの賞賛ではなく、自分で自分を満たすことができたら、私たちはありのままの自分ももっと好きになれる。全94の言葉には、目からウロコな“人生を楽しく変えるコツ”が詰まっている。

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「思い通りにならない人生」も考え方ひとつで好転させられる

 人生は思い通りにならないことの連続。なぜ、自分ばかりがこんな目に合うのか。そんな思いが募ると、生きることが苦しくなることも…。

 そんな苦しみを感じた時にこそ気づいてほしいのが、「思い通りにならない人生も思考法を変えれば豊かにできる」ということ。

“不満と満足とは、同じ硬貨の表と裏のような関係です。楽天思考で、その硬貨をひっくり返してみれば、裏だった硬貨が表になるように、不満が満足へと逆転するのです。”

 たとえば、大雨の日に外出できないと嘆くのではなく、家で楽しめることを模索するように、与えられた条件の中で自分の心を満たすことを探したり、ポジティブな面に意識を向けたりしていけば、人生の舵を良い方向に切ることができるのだ。

 私たちは理不尽な事態に見舞われると、恨みや愚痴が口をついてしまいやすい。だが、すべて思い通りになる人生を歩んでいる人など、この世にいるだろうか。恵まれていそうに見える人にも、その人にしかわからない不自由さはきっとあるはず。人生は不自由で思い通りにならないからこそ、無限の可能性がある。その可能性を活かすか潰すかは、あなたの心の持ち方次第だ。

生きるのが楽になる「80パーセント幸福主義」

 自分を満たそうと思うと、幸せを貪欲に探したくなる。仕事、恋愛、お金すべてに「もっと」を求めてしまうこともあるだろう。そんな時こそ心がけてほしいのが、「80パーセント幸福主義」でいること。これは自分の望みの80パーセントが叶えられたら、それに満足するという考え方。著者の植西さんは古代ギリシャの哲学者エピクロスも、これに似た教えを提唱していたとし、完璧な幸せに固執しない生き方を推奨している。

 これといった定義もないからこそ、私たちは他人と自分の幸せを比較して苦しんだり、今以上の幸せを手に入れたいと強欲になったりする。だが、考えてみてほしい。隣の芝生を見ながら、完璧な幸せを手に入れるべく欲求不満を抱え続けて生きている人と80パーセントの幸福でも「これで十分」と思っている人とでは、どちらが幸せそうに見えるだろうか。

 多くの幸せと思われる要素を手に入れても、人は幸せになれないこともある。幸せに執着がわくと「奪われないように」と、逆に苦しんでしまうこともあるからだ。だからこそ、人生を変えるには、自分を満たせる程度の幸せを手に入れることが重要。この80パーセント幸福主義は仕事や人間関係、恋愛など、あらゆる場で意識したい考え方だ。

 なお、本書には他にも職場で叱られた時の気持ちの切り替え方や嫉妬心との付き合い方など、誰もが経験し得るシチュエーションでの「自分を満たすコツ」もぎっしりと記されている。

 今の境遇を新たな視点で見つめ直させてくれる本書は、これまで知らなかった自分の一面を発見するきっかけもくれる。私の人生なんて…。そう思っている人にこそ、届いてほしい。

文=古川諭香