「みんな苦しみながらツイッターをやってるんだな」…長州力が辛くてもTwitterをやめない理由とは

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更新日:2020/6/25

『いまどうしてる?』(長州力/ワニブックス)

 今、Twitter界を席巻している有名人といえば、多くの人が、元・プロレスラーの長州力(@rikichannel1203)の名を挙げるだろう。2019年12月にTwitterを始め、フォロワーは52万人(※2020年5月13日時点)。Twitterに慣れていないがゆえに「ハッシュドタグ」「井長州力」などの珍ツイートをしてしまったり、「ところで源ちゃん(天龍源一郎)いますか?」と自由に呼びかけたり。最近では、Twitter公式マークを「これ外してもらえないですかね?」「自分はあまりこういうものに縛られたく無いんです」と言ったり、自宅に届いた「アベノマスク」について家族から「パパ~顔がデカすぎるよ~眼帯にすればー??」と大笑いされたことをツイートしたりして、大きな話題を呼んだ。

 そんな長州力のツイートをまとめた傑作集『いまどうしてる?』(ワニブックス)は、読めば、彼の摩訶不思議な思考回路が垣間見られる貴重な一冊だ。たとえば、記念すべき最初のツイートついて長州力はこんな風に解説している。

2019年12月25日
「いまどうしてる?」

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どうしてこれが一発目なのか。憶えちゃいないね。ただ言えることは「なぞり書き」には自律神経を整える効果があるんですよ。本当だぞ? だから「いまどうしてる?」って書いた時、俺も自律神経が安定したというか、まるで母胎の中にいるような安心感を覚えたね。懐かしかったね。

 Twitterにサジェストされるがまま「いまどうしてる?」とツイートしただけかと思いきや、想像の上をいく回答だ。また、本書には、長州力へのインタビュー記事も掲載されており、長州がどうしてTwitterを始めたのか、その思いも知ることができる。

 そもそも、長州がTwitterを始めたのは、2019年6月、プロレスラーとしての現役を引退し、「これから何をしようか」という時に、家族からの勧めがあったからだという。最初はなかなかつぶやけなかった。周囲が思う長州力のイメージと、自分の文章があまりにもかけ離れていることを自覚していたのだ。元々、LINEなどで絵文字を多用しており、友人にすら違和感を持たれていた。それに、文章を書く時はどうしても丁寧になってしまう。かといって、無理してキツイ口調にするのも自分らしくない。そこで、そのままツイートしてみることにしたのだそうだ。

 Twitter生活を楽しんでいるように見えるが、意外なことに長州は「正直、苦しいですね」と語る。一度始めてしまうとずっと続けなければならない。1日2日つぶやかないと、病気にでもかかったのではないかと思われてしまう。「みんな苦しみながらツイッターをやってるんだな」「それはやった人間にしかわからないと思いますよ」と長州は言う。

 だが、長州は、Twitterをやめない。どうして続けているかといえば、それは「ちょっとプロレスから距離を置きたい」という気持ちがあるからなのだそうだ。プロレスラーとしての自分ももちろん大切だが、いつまでもプロレスにしがみつきたいとは思わない。新しい道を切り開き続けたい。だから、長州は挑戦し続けているのだ。

 多用される絵文字。丁寧な口調。Twitterに慣れないがゆえの可愛らしい間違い…。長州力のツイートに魅了されるのは、彼の温かい人柄が滲み出ているからだろう。彼は、これからどのようなことをツイートしてくれるのだろうか。SNS界でも活躍する「革命戦士」にこれからも注目し続けたい。

文=アサトーミナミ

●長州力Twitterアカウント:@rikichannel1203