巣ごもり中の疲れやストレスを吹き飛ばせ! 童謡・唱歌を音読して心身ともに健康に

暮らし

2020/5/20

『音読でたのしむ思い出の童謡・唱歌』(齋藤孝/KADOKAWA)

 コロナ禍の影響で、巣ごもりしている人は多いだろう。おうちで読書を楽しむ人も増えているが、せっかく本を読むなら、黙読だけでなく音読、さらには、歌ってみるのもおすすめだ。2020年3月に刊行された『音読でたのしむ思い出の童謡・唱歌』(齋藤孝/KADOKAWA)は、いわば“歌読本”だ。

 童謡・唱歌を「声に出して読む」という視点が新しい。歌詞の描き出す四季折々の日本の風景が、自分自身の思い出の情景と重なり、さらに日本語の美しい響きとともに心にしみいる。

 もちろん歌うのもいいけれど、「音読」はそれとはまたひと味違う複雑な味わいをもたらしてくれるのだ。

「童謡・唱歌なんて、子どもの歌でしょ。高齢者施設でよく歌われているのも、子どもでも歌える簡単な歌だからじゃないの? いい大人がいまさら歌うなんて恥ずかしい…」
そんなふうに感じる人もいるだろう。

 しかしそれは、心得違いというものだ。齋藤先生によると、大人こそ「童謡・唱歌を声に出して読む・歌う」ことをしたほうがいいと提唱する。

脳トレ効果+幸せ物質が分泌されやすくなる!

 メリットとして期待されるのは、以下の4つだ。

・音読そのものに「脳トレ」効果がある。「目・耳を介して脳のなかで言葉のインプットとアウトプットが循環する」ことにより、脳が活性化される

・「音読すると脳内でセロトニンという“幸せ物質”が分泌されやすくなる」との説があるように、気持ちが上がる

・自然と唾液が出て、口内環境が整う。虫歯や歯周病の予防になるし、消化吸収がスムーズに行われるようになる

・歌詞を通して情感の深さを味わうことによって、心が豊かになる

 どうだろう、童謡・唱歌をちょっと見直す気になるのではないだろうか。

 ひとつ特筆すべきは、童謡・唱歌がここ数10年で、急速に歌われなくなっていることだ。昭和の終盤以降に生まれた人たちが知らない・歌えない歌が増えているのだ。

 齋藤先生はそのことに危機感を抱いている。

「日本人が100年以上に渡って童謡・唱歌を歌い継いできたことは、日本文化の財産である。その文化を継承していく使命がある」

 というのだ。同感! 本書に収録された101の童謡・唱歌は、誰もが歌い継いでいきたいと思う名曲ぞろい。読むのも、歌うのも、楽しく意義深いものである。

 またすべての歌に付いている解説が、ちょっとした“教養話”になっているのがおもしろい。たとえば、

「『ホーホー蛍こい』の題材である蛍で、一茶や和泉式部はこんな歌を詠んでいる」
「『かごめかごめ』には歌詞をめぐる伝説がいろいろある」
「『さくら』の歌詞は江戸・明治・昭和で変わってきた」

 など、知的に楽しめる工夫がされているところも、「大人のための“歌読本”」の魅力である。

 懐かしい童謡・唱歌を、声に出して読んで、歌って、知的好奇心を刺激しながら、心身共に健やかに過ごしてみよう。

 自分の両親にプレゼントするのもおすすめだ。

文=千葉潤子

【著者プロフィール】
齋藤孝 明治大学文学部教授。1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。著書多数。

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