毎日の片づけを家事から仕事へ。片づけのプロ10人に聞いた「整理収納を仕事にする方法」

暮らし

公開日:2020/5/25

『整理収納を仕事にする 片づけのプロ10人に聞く、暮らしと人生の整え方』(竹村真奈/翔泳社)

 自分の好きなこと、得意なことを仕事にできたら、どんなにやりがいがあるだろう。一度くらい、そんなことを考えたことがある人は多いはず。もし毎日やっている片づけや整理収納が「仕事」になるとしたらやってみたい! という人にぴったりの1冊が発売されました。

『整理収納を仕事にする 片づけのプロ10人に聞く、暮らしと人生の整え方』(竹村真奈/翔泳社)は、10人の整理収納アドバイザーを取材し、毎日の「片づけ」を仕事にした女性たちのヒストリーと、「片づけのプロ」になるためのヒントが紹介された1冊。これまでは「家事」というイメージが強かった片づけや整理収納を、スキルとして活かして仕事に変えるヒントが詰まっています。

 片づけのプロとしての仕事は幅広く、始め方・やり方も人それぞれ。本書に登場する方たちが仕事を始めたきっかけや、仕事の様子を一部紹介していきましょう。

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整理収納アドバイザーに聞く! 片づけを仕事にするヒント

 無印良品で13年間、生活雑貨の商品開発に携わっていた水谷妙子さん。第三子の妊娠をきっかけに働き方を見直し、無印良品で積んだキャリアや子育て中の経験を活かして、片づけのプロになることを決めたそうです。


 お仕事をする中で、こうして準備しておくとすぐに取り掛かれて効率がアップする! という実際の整理・収納メソッドを写真と解説で分かりやすく紹介。水谷さんの場合は無印良品で購入可能な収納用具が明示され、早速真似してみたい人もすぐ準備が始められそうなところがうれしいポイントです。

 無印良品を退社し、整理収納アドバイザーの資格が取れるまでのあいだは、自身のウェブサイトを作って無償で片づけサービスをおこなうなどして実績を積み、本格的な活動に向けての準備を進めたのだとか。具体的な見通しをもって、毎日の片づけを仕事に変えていったのですね。

 自分が不得意なことはきっぱりとあきらめて片づけのプロの道を進んできたというyur.3さんは、片づけの訪問サービスやコンサルタント、セミナーなどの仕事はしていません。

 yur.3さんの仕事の武器は、「言葉」。yur.3さんはSNSで捨てられない人の背中を押す言葉を発信しています。自分が“できること” “好きなこと”を見極めて、ブラッシュアップしていくことが、「好きを仕事にする」秘訣なのかもしれません。

 結婚を機に、好きなことを仕事にしたいと片づけのプロの道へと進んだ三吉まゆみさん。実家が物の多い「汚部屋」だったことから、片づけられない人に寄り添ったサービスを心がけているのだとか。

 三吉さんの場合は、整理収納アドバイザーの資格を取ったものの、最初は集客につながらず、自身もコンサルを受けてビジネスの勉強に取り組んだそうです。資格さえ取得すれば片づけのプロとして仕事ができるわけではなく、本人の努力や工夫が欠かせないのですね。

 本稿で取り上げた3人の女性の他にも、本書にはさまざまな人生の転機で片づけのプロになった女性たちの人生と仕事術が紹介されています。その際、使っているメジャーやテープ、収納用具、また人によってはスケジュール管理や記録の仕組みなど、仕事効率アップのコツなども具体的に話してくれているので、各人の個性が光ります。本書で自分の理想とするライフスタイルや働き方に近い人を探してみるといいかもしれません。

片づけのプロのお仕事現場とは?「整理収納サービス」の現場をチェック!

 本書には、整理収納アドバイザー 水谷妙子さんが「こどものおもちゃと洋服の収納について悩んでいる」という個人宅を訪問して、整理収納サービスをおこなう様子が紹介されています。

 はじめにおこなわれるヒアリングは2時間。限られた時間を有効活用するため、メジャーやマスキングテープなどの道具、さらに片づけ当日に必要なものの数や予算の目星をつけるために複数の収納グッズを持参するのだそう。

 作業日はまず使うものと使わないものを分ける「整理」から。使わないと決心するには時間がかかりそうですが、「おもちゃを仕分ける時のこどもへの聞き方」や「管理するこども服の目安量」など、水谷さんのアドバイスにより仕分けがどんどん進んでいく様子がレポートされています。

 仕分けが終わったら、実際に収めていく作業へ。こどもでもわかるよう兄妹で引き出しの色を変えたり、ラベリングをしたりして、今後の片づけのしやすさも考えた仕組みづくりは、さすがプロの仕事! 最後は実際に依頼者と片づけをしながら、取り入れた収納方法の使い勝手を確かめて、お仕事終了です。

 本書にはこの他にも、整理収納にまつわる資格の種類やSNS活用術、仕事の仕方など、片づけのプロになるためのヒントや情報が満載。片づけを仕事にしたい人も、なにか新しいことをはじめたい人も、本書でこれからの生き方のヒントを探してみてはいかがでしょうか。

文=ひがしあや