論理力とコミュニケーション能力を磨く競技ディベートをテーマにした青春ラブコメ
公開日:2012/6/12
「ディベート」をご存知でしょうか。あるテーマをめぐって理性的かつ論理的に行う議論です。ディベートには「競技ディベート」という競技形式のものがあり、この場合は肯定派と否定派に分かれて意見を対立させ、説得力を競います。
本作『彼女を言い負かすのはたぶん無理』は、小説・ラノベで珍しい「競技ディベート」を題材にした青春ラブコメ。
主人公の男子高校生・桜井祐也は、打ち込めるものが見つからずなんとなく退屈な学校生活を過ごしていますが、ある日、ディベート部の副部長である九重崎愛良(くえざき・あいら)と出会います。ラブコメですから、当然(?)美少女です。そして、偶然にも“ディベートの天才”アイラのディベートを目の当たりにすることとなり、問題児の巣窟ともいわれるディベート部へ入部することに。
「ディベート」という知的なイメージがある題材ですが、小難しさは一切なく、誰でも楽しめる娯楽性の高い作品になっています。娯楽要素のひとつが硬軟織り交ぜたディベートのテーマ。例えば、次のようなものです。
●未来の世界の猫型ロボットは少年にとって有害である。是か否か
●スーパーのレジ袋は全て有料にすべきである。是か否か
●ファーストキスが許されるのは小学生までである。是か否か
誰もが真剣に考えたことのある(?)テーマばかりですね!
テーマごとに、自分の考えをあらかじめ持って読み進めると、「なるほど」「そういう考え方もあるのか」「そうそう」など、気持ちが入るのでなお楽し、です。
ちなみに、教育現場では、生徒や学生の論理力やコミュニケーション能力を高める目的で、教育的ディベート(教育ディベート)を積極的に取り入れている学校もあります。近年は、社会で生きるために自分の考えを持つことは特に大切だとされます。社会を生きる力を伸ばすために納得の取り組みです。
さまざまな物事や自分自身のことを考え始める主人公の精神的な成長に感動できる、読後感のよい良作です。
もちろん、萌え要素と青春小説らしい甘酸っぱさもギッシリ詰まっています。
主人公・桜井祐也を含む個性的な登場人物たち
そして、ディベート部副部長であり“ディベートの天才”九重崎愛良。美少女なのです
興味をそそる章名
「九重崎愛良と出会ってしまったのだから。」退屈な日々にさようなら
初めて聴くディベートのテーマは「未来の世界の猫型ロボットは少年にとって有害である。是か否か」。主人公はガッカリ感を隠せないが…
否定側・九重崎愛良の立論がスタート
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