【初公開】“何度でも同じ味つけができる”秘訣を料理研究家が伝授! 家族が喜ぶ定番メニューを作ってみた

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更新日:2020/6/4

『藤井恵 繰り返し作りたい定番料理』(藤井恵/主婦の友社)

 日々、家族のためにさまざまな料理に挑戦している人も多いはず。しかし、好評だったレシピをもう一度試してみると、前とは同じ味にならなくてイマイチだった…なんて経験をお持ちの方もいるのでは?

 じつは家族が喜ぶ料理に、たくさんのレパートリーは必要ないと教えてくれるのが『藤井恵 繰り返し作りたい定番料理』(主婦の友社)。管理栄養士で料理研究家である藤井恵さんの、料理家生活20周年を記念して生まれたレシピ本です。

 そんな記念すべき本書のレシピは、藤井恵さん自身が家族のために繰り返し作ってきた定番料理ばかり。通常のレシピ本では書ききれない料理のコツや基本も詰め込まれており、まさに家庭料理の教科書のような1冊となっています。

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味つけの秘訣!「調味パーセント」の考え方を初公開!

 本書は、藤井恵さんの味つけの秘訣が初公開されているのも見どころのひとつ。おいしさの決め手だという「調味パーセント」という考え方が紹介されています。

 調味パーセントとは調味料の分量を、材料の重さに対する割合(%)であらわした数値のこと。たとえば塩分は食材の重さに対して約0.9%を基準とします。

 食材の重さが100gだった場合、しょうゆに換算して約小さじ1(0.9g)の量が味つけに最適、というわけです。味つけを数字で考えることで、誰でも、何度でも、同じ味つけができるようになるのだそう!

 最初は難しく感じるかもしれませんが、実際に一度試してみると計算自体はとてもシンプルなことが分かるはず。調味パーセントを使いこなせれば、これから先の料理で「味が濃すぎた、薄すぎた」という失敗をぐっと減らせるようになるかもしれません。

肉じゃが(pp.22~25)

 さっそく本書のレシピを作ってみました。まず日本で定番の家庭料理といったらはずせない、肉じゃが作りに挑戦!

 作り方は、牛肉、にんじん、玉ねぎ、じゃがいもなどの食材を切ります。サラダ油を熱した鍋に、にんじん、玉ねぎ、じゃがいもを順に入れて、そのつど炒めます。牛肉を加えて炒め、色が変わったら水を加えて煮ます。その後、しょうゆ、砂糖、みりんなどの調味料を加え、さらに煮ます。煮詰まる直前に絹さやを加え、さっと煮たら完成です。

 筆者が作る際は、本書のレシピの材料よりも野菜の分量が多かったため、調味パーセントにそって調味料を増量。筆者は普段から味つけが濃くなりやすく、調味料を増やすことに不安を覚えたのですが、完成した肉じゃがは「これ自分が作ったの!?」とびっくりするおいしさに! 濃すぎず、薄すぎずの懐かしさのある味に仕上がっていました。

 野菜の甘味を引き出すために食材は煮る前にしっかり炒める、まずは水で煮ることで味が染みこみやすくなる、といった本書のコツ通りに調理したことも、おいしさのポイントでしょう。本書通りに肉じゃがを作れば、誰でもおいしい家庭の味が再現できるはずです。

五目炊き込みごはん(pp.68~71)

 つぎは、具材をあらかじめ煮て、その煮汁で米を炊き、具材は最後に加えて混ぜる、という本格的な作り方をする五目炊き込みごはんにチャレンジ。具材と米を一緒に炊くレシピよりもひと手間かかりますが、その分、おいしさが断然に違うのだそうです。

 作り方は、鶏肉やごぼう、にんじん、油揚げ、さやいんげんなどの食材を適当な大きさに切ります。干ししいたけは水で戻してから切ります。油を熱した鍋でいんげん以外の食材を炒め、干ししいたけのもどし汁を加えて煮ます。煮立ったら砂糖、しょうゆ、酒を加えて煮込み、最後にいんげんを加えてさっと煮て、火を止めます。

 出来上がった具材と煮汁を分け、煮汁と水、塩と一緒に、あらかじめ浸水させておいた米を炊きます。炊き上がったら米の上に具材をのせ、再び炊飯器のふたをして少し蒸らします。ふたをあけ、よくかき混ぜたら完成!

 五目炊き込みごはんも、本書の砂糖大さじ2分の1よりも、小さじ2のほうが今回の食材の量に近いなあ、ということを自分で考えながら調理しました。食べてみると、ごはんはふっくらもちもちで、お出汁が染みこんだような上品な味わい。一方で具材には甘めの味がしっかり染みこんでおり、やさしい味のするごはんと相性バッチリでした。時間をかけて、ていねいに作ったからこそ、大切な人に食べてほしくなる1品です。

 この他にも、本書には作ったら家族が喜んでくれる・安心してくれるような定番料理がたっぷり。ぜひ本書で、繰り返し作っていきたい家庭の味をマスターしてみてはいかがでしょうか?

調理・文=ひがしあや