今年の「梅雨」は短い? 雨が降り続く梅雨時に頭上では何が起こっているのか?

スポーツ・科学

公開日:2020/6/4

『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 天気』(荒木健太郎:監修/ニュートンプレス)

 6月に入ると、「今年の梅雨はどうなるんだろう?」と、思いを巡らせるようになる。ウェザーニューズが5月19日に発表したニュースによると、今年の梅雨入りは平年より遅め。一方で、短期間で終わると予想されている。
 
 湿度が高くジメジメして、雨も降り続くので洗濯物もろくに干せなくなる梅雨の時期は憂うつにもなるものだが、ふと浮かぶのは、そもそも「なぜ梅雨がやってくるのだろう?」という疑問。その理由を知りたいと手に取ったのが、気象庁気象研究所研究官・荒木健太郎さん監修の『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 天気』(ニュートンプレス)だ。

日本に四季をもたらす4つの高気圧

 梅雨がなぜやってくるのかという問題解決の前に、そもそも「日本にはなぜ四季があるのか?」についてふれておこう。じつは、春夏秋冬でそれぞれの空模様がハッキリと分かれる国はまれだ。その理由には、海に囲まれた島国である日本ならではの環境が関係している。

 本書によれば、日本の陸地は「昼間は太陽によって温まりやすい一方、夜間は地面から宇宙に向かって熱が放出される『放射冷却』によって、冷えやすい性質」を持っているという。一方で、海側は「温まりにくく、冷めにくい性質」がある。これらの気温差に加えて、上空で吹く偏西風のはたらきにより、季節によって異なる高気圧が影響を与えている。

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 春の後半から夏にかけては冷たく湿った空気を吹く「オホーツク海高気圧」が北側から勢力を増し、夏には温かい空気を伴う「太平洋高気圧」が日本列島を覆う。そして、春と秋には偏西風に流されてやってくる「移動性高気圧」が影響を与え、冬には強い北風をもたらす「シベリア高気圧」が発生し、四季を生み出している。

冷たい風と温かい風が釣り合うことで梅雨になる


 毎年、6月頃になると沖縄方面から本州にかけて「梅雨前線」が北上してくる。梅雨前線が生まれるのは、「オホーツク海高気圧」から吹き出す北側からの冷たい風と、太平洋側の「太平洋高気圧」から吹き出す南からの温かい風がぶつかるためだ。

 そして、それぞれの勢力が釣り合うと上昇気流によって雲が発生し、梅雨ならではの長雨を降らせる雲が生まれる。いずれの高気圧から吹き出す風も水蒸気を吸収しているが、南からの風の方が水蒸気量が多く、その影響で梅雨時は雨が絶え間なく降り続くことになる。

 そして夏にさしかかってくると「太平洋高気圧」の勢力が強まり、「オホーツク海高気圧」が押し出されていく。これにより梅雨前線が北上し、日本の南側から次第に梅雨明けを迎えるのだ。

 さて、今年の梅雨はどうなるのか。今はまだ想像するしかない。やまない雨や湿気で憂うつになりがちな季節だが、天気について分かりやすく教えてくれる本書を片手に、空の様子を見つめ直してみるのもおもしろいかもしれない。

文=カネコシュウヘイ

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