仕事で本気になれない…と悩む人に捧ぐ、「不安や邪念を捨てる」テクニック

ビジネス

更新日:2020/6/8

『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「仕事で本気になれない」
「思ったことを素直に言えない」
「やりたいことがあっても躊躇してしまう」
 何をするにも思うようにいかず、なんとなく気分が重たい日々。「こんなことに意味があるのか?」「時間の無駄じゃないのか?」と頭をよぎり、鬱屈した気持ちになってしまう――そんな気持ちを吹き飛ばすことはないだろうかと考えていたとき、衝撃的なタイトルの本に出会った。
 
『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽/ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、その名の通り、余計なものを全部捨てて身軽になることについて説く本。著者は、天王州アイルを殺風景だった倉庫街からオシャレな街に転換させ、TV番組「カンブリア宮殿」にも出演して話題となった、元・寺田倉庫CEOの中野善壽氏だ。ここでは、本書の中から特に心に残ったトピックを紹介していきたい。

不安や邪念を捨て、今日一日を楽しむべし!

「夢中になって楽しめるのは今しかない」と中野氏は断言する。今日できることは今日、思い浮かんだ順でいいから今すぐやる。日々やり切ることで、「あぁ、あのときやっておけばよかった」という後悔がなくなり、新たなチャレンジをしやすくなるという。

 思い返せば、学生時代に部活で真剣に練習していた頃は、試合の勝ち負けに関係なく日々清々しい気持ちで生活を送っていた。逆に、手抜きをしてしまうと「もっと練習しておけばよかった…」と試合後に後悔していた気がする。仕事でもそれはきっと同じだ。

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 不安や誘惑に負けず、今日一日をやりきる。「明日でもいいか」という“邪念”を捨てることこそ、人生をより良くするための第一歩と言えるだろう。

やりたいことを実現するためには、「捨てる」のが大事

 モノやお金、地位、名誉など、人は一度手に入れたものは手放したくないものだ。どれも持っていることで安心感が得られる。だが、それは束縛された不自由な状態とも言える。

 中野氏は経営者という立場でありながら、家も車も持たず、お金も必要最低限以外は寄付をしているという。持っていなければ、捨てる必要もない。そのようにモノ・コト・ヒトから自由になろうとしているのだ。

 社会人ともなれば、周りのことが優先で、自分のことは後に回しがちだ。子どもの頃は誰しもが夢を持ち、自分がやりたいことにもっと正直だったのに、気付けばしがらみやルールでがんじがらめ…。今から子どもと同じように、というのは難しい。でも、自分を縛るものを手放し、一つずつ自由を得れば、やりたいことにも近づけるはずだ。

「やりたいことがあるのにできない」「色々なことが不安で余裕がない」という方は、知らず知らずのうちに自分を縛っている“ノイズ”を整理して考えてみよう。

納得できないことには「NO」。忖度を捨て、自分に正直に

 中野氏は、職場の先輩に対しても「それは違います。やり方がおかしいです。僕はこう思います」とハッキリ言うようにしていたという。

 人の評価を気にせず、自分が納得できないことには徹底してNO。しかし、それだけではただのワガママに過ぎない。そこで、「自分だったらこうやる」「こうすれば、もっとよくなるはず」という改善策を提案してみる。そうすれば、自分の意見を持っていると一目置かれるはずだ。

 相手の気持ちを汲み取るタイプの人にはハードルが高いかもしれない。だが、大切なのは自分の人生だ。意見を言わずに後悔するくらいなら、自分を縛っている“忖度”を捨てて、思い切って発言するのもアリだろう。

 ここでは伝えきれなかったが、本書には自分を身軽にする方法や意味のあるお金の使い方、人の評価を気にしないための考え方など、さまざまな「捨てる」「持たない」ためのエッセンスが詰まっている。

 自分が望んだ人生は、まず身軽になることから始まる。本書は、日々の生活の中で私たちが忘れていた「大切な何か」を思い出させてくれる。

文=冴島友貴