「何度言わせるの」「宿題しなさい」は子育てNGワード! 伝わる言葉に転換させるコツ

出産・子育て

公開日:2020/6/10

『決定版 ママ、言わないで! 子どもが自信を失う言葉66』(曽田照子:著、速水えり:イラスト/学研プラス)

 学校休業の影響で、子どもの宿題が増えている。親としては授業不足への不安から宿題はきっちりとこなしてもらいたいが、自学の習慣が付いていない子どもにとっては辛いもの。親は思わず感情的になり、「宿題しなさい」「何度も言わせないで」「言い訳は聞きたくありません」などと厳しく言ってしまいそうだ。

 わが子に“つい”言ってしまうとしても、そのキツイ一言が子どもを傷つけることになると教えてくれるのは、『決定版 ママ、言わないで! 子どもが自信を失う言葉66』(曽田照子:著、速水えり:イラスト/学研プラス)。「子育てNGワード」の専門家が、ちょっとした発想の転換でうまくいく方法を明かしている。

「早く宿題しなさい」。このセリフを親は口にしがちだが、親自身もこれを言ったからといって宿題を始めることはないとわかっている。子どもも親と一緒で、強制されたらやる気をなくす。親の願いは、子どもが宿題に取り掛かることだ。子どもに強制するのではなく、やる気が出る言葉に言い換えてみたい。

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「今日はどんな宿題が出たの?」
「何時から宿題タイムなの?」

 もし、子どもが「じゃあ、◯時から」と決めたにもかかわらず、その時間になっても動く気配がなければ、「◯時だよ」とだけ教える。事前にアラームをかけておくのも手だという。子どもによって好みの方法や、合う合わないがあるため、相性を見極めて促す方法を考えたい。

 親が机に向かえば子も向かう。著者はよくいわれるこの言葉を実践した。すると、効果はてきめんだったそうだ。子どもの目の前でノートを広げ、資格試験の勉強を始めたり、事務作業に取り掛かったりすると、子どももつられて宿題を始めることがあったと述べている。

「宿題しなさい」を言い疲れた親は、やがて「何度も言わせないで」と叱る。この時、子どもは「いつも同じことばかり」「ガミガミうるさいなあ」と思うだけで、のれんに腕押しとなる場合が少なくない。とはいえ、子どもだって、できれば叱られたくはない。工夫次第で、親子とも、幸せになれそうな方法がある。

「ママとあなたが仲良くできる方法を、一緒に考えてみない?」

 一方的ではなく、互いに納得できる方法を模索してみるのだ。それでも行動できない子どもの場合、耳から入る情報が苦手なタイプなのかもしれない。言葉を文字や絵にして貼り出してみる方法を本書は勧めている。できたときは、「できたの!」「えらいね!」などと欠かさず褒めることで、子どもが次へのモチベーションを高める。

 どうしても宿題をする気にならない子どもは、あれこれと言い訳をするかもしれない。「でも」「だって」…これを繰り返されると、親は「言い訳は聞きたくありません」と角を生やしてしまう。しかし、言い訳を封じると、子どもは「私の話を聞いてくれないんだ」「もう何も言いたくない」と感じてしまい、関係がこじれる元に。

 本書によると、口答え自体は、成長の証。言い訳をしない子どもは素直だと親は思いがちだが、子どもの中で自信が育っていないだけの可能性がある。だからといって、言い訳を認めて宿題を放ったらかしで良いということではない。この時、親は黙って聞くことが肝要だと本書は述べる。否定せず、怒らず、ただ冷静に聞く。こうすることで、子どもなりの理屈が見えることがあるし、屁理屈であっても子どもは「受け入れられた」と自己肯定感を高め、問題解決に動きやすくなる。

 本書は、幼い子どもにも使えるケース別「子育てNGワード」を66紹介し、それぞれに解決法を示している。コロナ禍から社会がようやく動き出したとはいえ、まだ親子共にストレスが溜まりがちな昨今。子育てNGワードをうまく行動ややる気につなげる言葉に転換して、良好な親子関係を保っていきたい。

文=ルートつつみ