どのジャンルにも収まらないから、ラノベなんだ!

ライトノベル

公開日:2012/6/17

ミニスカ宇宙海賊

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 朝日新聞出版
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:笹本祐一 価格:616円

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正直、タイトルと著者名をみたときは「?」って思った。
ちなみに「?」の中身は、「間違って、隣に置いてある本のタイトルを読んだんだろう」というものだ。

だってさ。笹本祐一っていえば、デビューでいきなり『妖精作戦』だよ? 計4冊の妖精作戦シリーズは『ハレーション・ゴースト』『カーニバル・ナイト』『ラスト・レター』と、どれも「媚びぬ引かぬ」で美学を貫いているじゃないですか。あとがきを読むと、顧みてはいるみたいですが。

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で。
なんでタイトルの話から入ったかというと、文体がですね、こういう言い方で伝わるかどうか自信はないのだが、とてもおしゃれなクラシックカーみたいなんですよ。それは良くも悪くも、全編にわたってぶれがない。往年の笹本ファンも納得です。

つまり、それだけタイトルだけが浮いているってこと。
なんでミニスカなのか。パイレーツなのかは、あとがきにしっかり明記されています。真偽のほどは定かじゃないけれど、久々におもしろいあとがきだった。

本編はね。
とても緻密に描写されています。人物じゃなくて、メカやこの世界のルールが。それはかなりハードなSFと呼んでも差し支えないくらい、きっちり書き込まれていますよ。ストーリーを進めることよりも、架空の世界にリアリティを持たせることにページを割いています。

どのくらいすごいかって? そりゃ、一読しただけでは主人公、茉莉香の乗った船がどんな形状なのかも想像できないほど。細部の描写がすごすぎて、だいたいこんな感じっていうのがないんですよ。でも、中心キャラは女子高生ばかり。名前のついている男性キャラは記憶している限り2人だけ。しかもおっさん。

その昔、どのジャンルからも「うちじゃない」といわれたような作品がライトノベルの原点だったという話を聞いたことがあるのだが、まさにそれだよ。さすが、「現役最古のラノベ作家」ですな。


お約束のパンを押し込んで「遅刻、遅刻ー!」ってやつですな

ルビに注目! 最初の七隻と書いて、オリジナル・セブン、ですよ?

ここまできっちり書き込まれている故に、逆にどんな宇宙船なのかイメージが…