職場にいる「ゴシップ好きな人」とチンパンジーには共通点がある!? 上手に付き合う方法は?

ビジネス

公開日:2020/6/17

『職場のざんねんな人図鑑 やっかいなあの人の行動には、理由があった!』(石川幹人/技術評論社)

 どこの職場にも必ずひとりはいる、付き合いづらい“ざんねんな人”。同僚や上司、部下の厄介な振る舞いを毎回ダイレクトに受けていると、心まで疲弊してしまう。
 
 だが、苦手な人が見せる「ざんねん行動」の裏にある理由がわかれば、人間関係のモヤモヤをすっきりとできるかもしれない。『職場のざんねんな人図鑑 やっかいなあの人の行動には、理由があった!』(石川幹人/技術評論社)は、職場での人付き合いで悩む全ての大人に手に取ってほしい処世術の本だ。
 
 本書は一般的な人間関係構築本とは違い、進化心理学や認知行動論の第一人者である著者が、ざんねんな特性を持った人を「〇〇属」という形に体系化。生態や生息地、あるある行動などを記しつつ、全25属に分けられた“ざんねんな人”とどう人間関係を築いていけばいいかを解説する。
 
 さらに、もし自分自身が〇〇属だった時のためのアドバイスも掲載。自分自身を見つめなおすきっかけも与えてくれる。

ゴシップ会話はチンパンジーの毛づくろいと同じ!?

 内緒にしてほしかった話なのに、いつの間にか広まっている…。職場で、他人の噂話が好きな「ゴシップ属」に、そんなモヤモヤを感じたことがある方は多いはず。このタイプは、自分たちの推測も交えながら噂話を広めていくのが特徴。間違いや推測のアラを指摘しても「そんなこと言った?」と取り合ってもらえないことも多い。

 なぜ、ゴシップ属は噂話をやめられないのか。石川氏はその理由を、進化生物学の視点から解き明かす。

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 実は、ゴシップ会話は人間らしさの根源にあたる重要な機能。イギリスの人類学者・進化生物学者のロビン・ダンバーが人々の日常的な会話内容を調査した結果によれば、約7割は人間関係に関するゴシップであったそう。この結果を踏まえ、ゴシップはチンパンジーの毛づくろいにあたる役割を果たしていると結論付けた。ダンパーによれば、チンパンジーが毛づくろいを通して友好関係や上下関係を築くように、人間はゴシップを話すことで仲間を形成してきたというのだ。

 さらに、基本1対1で行う毛づくろいとは違って、ゴシップ会話は4人程度まで一緒に行えるため、人間の協力集団の規模をチンパンジーより数倍大きくするのに役立ったとも指摘している。この事実を知ると、身近にいるゴシップ属がすごく生物らしく見え、少し和んでしまわないだろうか。

 さて、こんなゴシップ属とうまく付き合うには、オープンな職場をつくるのが効果的。色々な話題を話せる場や時間帯などを設け、職場での会話が少なくならないように心がけてみてほしい。

 ゴシップ属は、見方を変えれば、職場のコミュニケーションを増進してくれる存在でもある。だからこそ、ライバルを蹴落としたい時に利用するなど卑怯な役立て方をするのではなく、ゴシップ属の社交性を活かしていこう。

人間はみんな「先延ばし属」?

 机の上に山積みになった書類を見ながら、「明日やればいいや」という言葉が口癖になっている人は、「先延ばし属」に当てはまるかもしれない。このタイプは長期的な視点に欠け、いつも手元の問題に追われている。未来の報酬よりも今の楽しさに注力してしまう理由には、先史時代の生活が大きく関係しているという。

 当時、過酷な環境の中で生活していた人類は、計画的な努力をして未来を予測しても、それを上回る不測の事態にたびたび見舞われたため、人間には報酬を小さく考える習性が身についたのだという。石川氏いわく、先延ばしは人類の共通傾向であり、先延ばし属はその程度が大きいだけなのだとか。

 そんな先延ばし癖を改善するには、未来の報酬を明確にして意欲を高めたり、現在を楽しむ時間と未来に投資する時間をつくり、別の誘惑に負けないようにすることが得策。これを機に、先延ばし癖との付き合い方を考えてみたい。

 本書には他にも「サイコ属」「マウント属」「共感先行属」など、ユニークな呼称がつけられた“ざんねんな人”がたくさん。「どこかのだれか」ではなく、自分事として捉えてみると新しい生き方のヒントも見つかりそうだ。あなたは一体何属に当てはまるのか? ぜひチェックしてみてほしい。

文=古川諭香

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