TVアニメ追加キャスト発表! 笑いと涙の新時代ギャグ漫画は最新刊も高テンション

アニメ

更新日:2020/7/3

『うらみちお兄さん(5)』(久世岳/一迅社)

生きていると、何をしてもダメ。何もしなくてもダメという日がある。それが今日だ

 うらみちお兄さんの魂の叫びが心に刺さる『うらみちお兄さん(5)』(久世岳/一迅社)。待望の最新刊が発売されたが、5巻まできてもなお、衰えることを知らないうらみちお兄さんの金言に思わず涙し、笑い、そして共感する…こんなに心を揺さぶるギャグ漫画が未だかつてあっただろうか?

 今巻もうらみちお兄さんは、世の中の不条理に惑い、苦しみ、そして最後は全てを受容する。

 歌のお兄さん池照(いけてる)の愛犬・小百合さんを預かったり(イヤだと言ったのに)、自身が体操のお兄さんとして出演している教育番組「ママンとトゥギャザー」の公式SNSに投稿して苦情を受けたり(慣れない中がんばったのに)、新グッズの企画会議に参加したり(早く帰りたかったのに)と、今回も果てしない社会の荒波に揉まれ、傷付くうらみちお兄さんが読める(とても笑った)。

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 個人的な感想としては、今巻は主人公のうらみちお兄さんよりも、他キャラの魅力を再発見できるエピソードが多かった。

 新キャラとして、クマオ君の中の人こと熊谷(くまたに)の弟・はち太が上京してくるのだが、はち太は純真で少し臆病な青年。熊谷はそんな弟を溺愛しており、弟の「自分を甘やかさないで、もっと厳しく接してほしい」というお願いに困惑する。

 熊谷ははち太に対して厳しくしているつもりも、変に優しくしているつもりもなかったため、弟の言っている意味が分からずモヤモヤ。ウサオ君の中の人・兎原に自分が優しいのか厳しいのかを問い詰めたり、池照に(自分なりに)厳しく接してみたり、うらみちお兄さんに相談したりと迷走する。普段クールな熊谷が、弟の一言に動揺している姿はブラコ……ではなく、家族愛溢れる新たな一面が見られて微笑ましかった。

 また、うらみちお兄さんを失意のどん底に突き落とすことの多い、販売企画部の木角(きかく)さんの出番も多かった。うらみちお兄さんからしたら心のドアを開ききれない相手なのかもしれないが、彼もまた上司の無茶ブリに苦しむ被害者。いつか、うらみちお兄さんと仲良くなってほしい…。しみじみ。

 さて、忘れてはいけないのがTVアニメ化に関する追加情報だ!

 アニメ化が発表されたのは少し前。またその際、キャストの豪華さに驚いた原作ファンも多いのではないだろうか。神谷浩史さん、杉田智和さん、中村悠一さん、宮野真守さん、水樹奈々さん……と、このメンバーが揃うアニメも今時中々ないのでは、というファン垂涎のキャスティングになっている。

 さらに先日情報が解禁されたキャストも、これまた豪華だ。木角半兵衛役に木村良平さん、木角の同期でオタクの上武裁人(うえぶ・さいと)役に鈴村健一さん、体育大学時代に寮で兎原&熊谷と同室だった猫田又彦(ねこた・またひこ)役に小野大輔さん。

 天井知らずの豪華キャストが解禁され、今から放送が待ち遠しい(主要キャラ以外もTVアニメに登場することが分かったのもファンとして嬉しい)。5巻発売記念のPV動画では、この豪華キャストの掛け合いが先に楽しめるので、ぜひ聴いてほしい!

文=雨野裾