悲しき過去と復讐と──重き宿命を背負った第三のウルトラマン・北斗星司の素顔に迫る

マンガ

公開日:2020/7/5

 日本が世界に誇る巨大ヒーロー番組『ウルトラマン』の40年後を描いた漫画『ULTRAMAN』(清水栄一×下口智裕/発行:ヒーローズ 発売:小学館クリエイティブ)。キャラクターやメカニックなど、特撮ファンならずとも楽しめるギミックが満載だが、多くの謎がちりばめられたストーリーにも注目したい。特に北斗星司の物語は、まさしく謎に満ちている。今回は北斗の人物像にスポットを当て、その全貌に迫ってみたい。

【北斗星司】
年齢:16歳(高校1年生)・身長:165cm・体重:52kg
[エーススーツ着用時]身長:175cm・体重:97kg

[エーススーツ]
 天才技術者である異星人「ヤプール」が、北斗のために造った強化スーツ。北斗はこのスーツを「Alien(異星人製の意)」の頭文字と、自らを「切り札」と位置づける自己顕示的な思いから「エース」スーツと呼んでいる。地球外の星の技術が用いられているが、地球製のマテリアルを使用することによって巧妙に偽装している。背面に装備されたスラスターによって、高速移動や高高度の跳躍が可能。スーツは北斗の使用する戦闘用義手や義足に対応した設定になっており、手甲ごと手首をスライドさせることで強力なビームを発生させられる。また義手の拳部分を取り外すことによって、大出力のビームを放つことも可能だ。

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[人物像]
 北斗は幼い頃、航空機の事故によって両親を失い、自らも両腕と両足を失う。北斗の命を救ったのは異星人の南夕子だった。地球人と異星人の友好的共存を願う夕子のため、北斗は自分の義手義足を造った異星人・ヤプールの手による強化スーツを身に纏う。「エース」として戦うことも、早田進次郎に接触して科学特捜隊の一員になろうとしたことも、すべて夕子の願いを叶えるためなのである。しかし自分の両親を奪った事故が、実は夕子たち一家に対する暗殺計画によるものだったことを知り、彼の戦う動機に「復讐」が加わることになる。


 基本的には優しい心を持つ北斗だが、エーススーツ製造の資金を得るため、詐欺などの社会悪を働く小悪党を脅して金を巻き上げるといった、目的のためなら手段を選ばない面も併せ持つ。そういう部分を進次郎に否定され、さらに力を得て怖いもの知らずな北斗に対し、諸星弾は「ウルトラマンごっこをしているだけ」と彼を叩きのめす。しかし「南夕子を守りたい」という北斗の想いは本物であり、彼は暗殺実行犯のエースキラーに命懸けで立ち向かう。そんな北斗の姿を見た進次郎は、彼を「ウルトラマン」だと認めるのだった。


[ウルトラファイト]
 エースの戦闘は、スラスターによる高速移動を活かしたアクロバティックなスタイルである。そして片方の手首からビームを発生させ、もう片方で受けることによってワイヤーのようにビームを伸ばし、対象を切断するのだ。さらにビームはムチのように自在に操ることが可能で、複数の敵に対しても有効。また義手の拳部分を取り外して放つビーム砲は強力だが、北斗いわく「切り札」なので使用は最終局面に限られる。


連載情報:月刊ヒーローズにて好評連載中
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単行本情報:①〜⑮巻(B6判)、公式アンソロジー(B6判)、総集編全3冊(B5判)、ULTRAMAN アニメ化記念1、2、3巻SPECIALプライスパック(B6判)好評発売中

文=木谷誠