「自分の時間がない…」と心で泣く大人へ。自分の価値を再認識するための3ステップ

暮らし

公開日:2020/7/4

『「つい自分を後回しにしてしまう」が変わる本』(積田美也子/あさ出版)

「自分の仕事が山積みなのに、頼まれると断れない」
「家族を優先するのが当たり前になっていて、自分の時間が取れない」
このように、他の人のことを優先して自分を後回しにすることが続くと、当然ながら疲れる。ちなみに、わたくし筆者もコロナ禍の自粛要請で、ひとりで過ごす時間が取れずに疲労困憊した。そこで、『「つい自分を後回しにしてしまう」が変わる本』(積田美也子/あさ出版)から、上手に自分の時間を取る方法について紹介したい。

自分を後回しにしてしまうクセを止めるには?

 本書によると、他人を優先して自分を後回しにしがちな人には、“恐れ”があるという。恐れとは、何事においても「~すべき」と思っていて、そこから外れることが怖いという感情だ。「~すべき」は、いつの間にか自分の中にある理想の定義。例えば、仕事を断ったら嫌われてしまう、家庭のことをしっかりやらないと母親として失格だ、など。定義通りにできないと私はダメな人間だと自己嫌悪…。そうならないために、相手がそこまで強く望んでいないことでも、ついつい無駄に頑張ってしまうのだ。

 著者はこの恐れを「ありのままの自分ではダメ病」と命名している。今持っている「~すべき」は、幼いころの家族関係が元になっていることが多く、必ずしも適切なものとは限らないのだという。例えば、あなたがやさしい性格だったから、たまたま家族の調整役として育ったり、負の部分を負わされていただけかもしれないのだ。

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 そうか、私は不適切な「~すべき」という枠に自分を押し込めていたのかもと気付いたら、次にやることは「自分の価値を認める」こと。自分の価値を認められれば、自分のための時間だって上手に取れるはず。とはいえ、これがなかなか難しい。そこで、具体的に実践できるルールを紹介したい。

(1)「自分なんか」と言わない
 自分なんかが相談したら相手に迷惑だろう…などと勝手に自分の価値を落として、相手の気持ちを勝手に予想しないようにしよう。日本には「つまらないものですが」と前置きして贈り物をするなど、自分を下げることが美徳とされる文化があるが、これも社交上の建前と割り切り、内心ではありがたく思えよというくらいの腹黒さも必要なのかもしれない。

(2)抑えている感情は書いて吐き出す
 黒く汚い感情も、過去に言えなかった意見も、抑え込んだままでは体に毒。正直な自分の気持ちに耳をすますことは、自分の価値を認めることの一部なのだ。しかし、人に愚痴を撒き散らすのも考えもの。そこで、紙に書き出して嫌な気持ちは外に出してしまおう。書き方は自由。ただし、重要なのは、自分の書いた言葉や内容について一切の判断をしないことだ。ときには、人としてどうなのかというほど嫌な気持ちが湧いてくることもあるかもしれない。でもそんな時に自分を責めてはいけない。この作業は、ただの“お掃除”であり、反省会ではないからだ。

(3)1日に1個の自分ファーストを
 社会生活上、すべての面で自分優先にすることは難しい。そこで、自分が幸せに感じることを、1日1個、意識的に実行してみよう。例えば、家族が好きなものではなく自分が食べたいものを献立にする、絶対に残業をしないで趣味の時間を確保する日を作る、などだ。もっと小さなことでもいい。好きな入浴剤を入れてゆっくりお風呂に入る、好きな飲み物をひとりでゆっくり飲む、というのはどうだろう。まずはできるところから、自分の幸せな“1個”を意識したい。

 ありのままの自分にOKを出せて、人に振り回されないようになりたい。切実にそう思う。そうすればたまった疲れも減り、義務的ではない、本来の周囲へのやさしさがよみがえってくるかもしれない。最後に著者の言葉を。

「あなたは幸せになっていいんです。自分を優先できたときも、できなかったときも、あなたの価値は変わりません」

 ああ、疲れた心に沁みる…。

文=奥みんす

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