アフターコロナのビジネストレンドが見えてきた! タクシーがオフィスになる!? その理由とは

ビジネス

公開日:2020/7/8

『アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド』(日経クロステック:編/日経BP)

 新型コロナウイルスは、私たちの生活や働き方を大きく変えた。筆者も仕事がリモートワーク中心になったし、食事などでお店を選ぶときはネット評価の星の数よりも、人の密度や換気を気にするようになった。こうした変化は、ビジネスの世界でも着々と進行している。
 
『アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド』(日経クロステック:編/日経BP)は、テクノロジーに強い技術系デジタルメディア「日経クロステック」がまとめた、アフターコロナを考えるためのムック本だ。誰もが知る大企業の経営者から大学教授、作家など30人以上の有識者に話を聞き、今後のトレンドを導き出す。第一線で活躍する彼らの目には、何が映っているのだろうか。

タクシーが「動くオフィス」になる!?

 日本交通代表取締役会長の川鍋一朗氏は、タクシー業界の立て直しを急ぐ。本書によれば、今年4月前半の売り上げは前年比54%減少。東京に限れば65%減少だという。川鍋氏は、アフターコロナではタクシーの用途が変わっていくと予想する。移動そのものの需要は減るかもしれないが、代わりに乗客の平均単価があがるというのだ。

 不特定多数の人が同時に利用するバスや電車に比べ、ひとり乗るごとに消毒や換気が可能なのがタクシーの強み。安全性を考えれば、「高いお金を払ってでも乗りたい」と考える人は続出するだろう。さらに、Wi-Fiや電源を完備すれば、忙しいビジネスマンにとっては「動くオフィス」になる。商談の合間の移動中に、「Zoom」で会議することだって可能だ。

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学校教育は「1対1」が主流になるかもしれない

 オンライン学習アプリ「スタディサプリ」は、コロナ禍で爆発的にユーザーを獲得しているサービスのひとつ。リクルート執行役員の山口文洋氏は、アフターコロナで学校の先生の役割や定義が見直されていくと語る。これまでは「Teacher=教える人」であったが、「Coach=伴走する人」の役割が増していくというのだ。

 単純に知識を教える授業はオンラインに置き変わる。代わりに、1対1で生徒とコミュニケーションする機会や必要性が増えていく。例えばある学校では、生徒に午前中の2時間でスタディサプリの動画と演習問題に取り組んでもらう。午後は、先生はクラス40人全員と1対1で10分ずつ個別コミュニケーションをとるという。先生は、授業計画や問題作成に追われていた時間から解放され、生徒ひとりひとりと向き合う時間を確保できるようになった。

 本書はこうした有識者30人以上のインタビューを通して、7つの大トレンドを予見する。

・分散型都市
・ヒューマントレーサビリティー
・ニューリアリティー
・職住融合
・コンタクトレステック
・デジタルレンディング
・フルーガルイノベーション

 大都市の一極集中が終わり「分散型都市」へ。何をオンラインで行い、何をオフラインでやるべきかが再定義されていく「ニューリアリティー」。それぞれの詳細は本書に譲るが、この7つのトレンドと関わりのない企業はほとんどないといっていいだろう。

 私たちが生きる現代は、何が起こるかわからない――不確実性の高い世界だといわれてきた。だが、「アフターコロナ」は完全に未知のものではない。すでに、私たちひとりひとりが実感している変化。ニュースで報じられる社会の動き。経営者や専門家の分析――これらの情報を集め、考え抜くことで、ある程度未来を予測することはできる。あなたの仕事は、アフターコロナでどう変化していくだろうか。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7

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