不安な人ほど運動したほうがいい? コロナ禍でもメンタルを健康に保つには

暮らし

公開日:2020/7/20

『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』(Testosterone、岡琢哉/文響社)

 新型コロナウイルスによる社会不安が続いている。日本の未来や自分の仕事は、これからどうなってしまうのか。先行きの見えない状況にストレスがたまり、身近な人間関係がうまくいかなくなってしまった、という人もいるだろう。私たちは、ますます加速するストレス社会とどう向き合えばいいのだろう。

 本稿で紹介する『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』(Testosterone、岡琢哉/文響社)は、ストレスに負けないための原理・原則を語るメンタルコントロールの本だ。著者は、Twitterでメンタルや筋トレに関する発言で人気を集めるTestosterone氏と、精神科医の岡琢哉氏。フォロワー数100万人超を誇るTestosterone氏の説得力ある言葉と、エビデンスに基づいた岡琢哉氏の分析は、かけ合わせれば百人力だ。

 本書で語られるのは、メンタル管理は何よりもまず「予防」が基本で、中でも「睡眠」「食事」「運動」が大切だということ。誰もが大事だとは意識しつつも、ついおろそかになりがちな3つだ。具体的に、効果的な方法を見ていく。

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不安な人ほど運動をすべき

 まずは、運動だ。社会人になると、なかなか意識しないと時間がとれないが、やはりメンタルへの影響は大きい。本書で紹介されている研究によれば、運動をしない人よりも、運動をする人のほうが、精神状態が良い日の割合が40%も多いのだとか。特に効果的なのは、チームスポーツや、サイクリング、ジム、ランニングなど。どうやら、運動そのものだけでなく、付随する要素も重要なようだ。チームでプレイするスポーツやジムでの運動は、多くの人と関わりながら行う。コミュニケーションを取り、楽しみながらやることも、運動の効果を高めていると思われる。

 うつ病と運動を比較した研究もある。週3回、30分間、全力の70~80%の強度でウォーキングした場合、薬と同じくらいうつに対する効果があったそうだ。私たちの実感としても、ウォーキングやランニングをすると余計な事が頭から離れ、すっきりする感覚があるだろう。

SNSは眠りの敵になるかも?

 次は睡眠について。夜、ついダラダラとSNSを見てしまい、眠れなくなることはないだろうか。どんなサイトを見ているかが、メンタルに影響するという研究結果が出始めている。SNSは、いろいろな人の発言や行動が嫌でも目に入る。何気ない投稿から自分だけ誘われてないことに気づいたり、思ったように「いいね」がつかずイライラすることもある。夜ベッドの中でSNSを長時間見ていると、こうしたことで脳が刺激されてしまう。寝る前は、スマホの利用を控えるのが吉だ。

 改めて語るまでもなく、メンタル管理において睡眠時間の確保は大切だ。睡眠の質が落ちると病気やうつのリスクが高まる、といったデータはたくさんある。本書によれば、国立睡眠財団は、成人であればおおむね7~9時間程度、WHOも平均8時間の睡眠が必要だとしている。おおむね1日8時間程度確保できるとよさそうだ。

 本書は、予防だけでなく、メンタルに関するさまざまな症例と対処法も紹介している。適応障害、うつ病、強迫症…などについて、マンガ形式で陥りがちなシチュエーションを再現。「もしかしたら自分も○○かも…?」と思ったら、本書の例を見て参考に対策を取ってみてほしい。なかなか人には相談しにくいメンタルの悩み。本書で解決の糸口が見つかれば幸いだ。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7