誰にも言えない秘密。極上の“疚しさ”を紡ぎだす、偏愛のオムニバス

2012/6/21

回游の森

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 太田出版
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:灰原薬 価格:500円

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●少女愛を持つ男「逃げ水」。
●墓を掘る女の話「金魚の墓」。
●同性の親友への独占欲の話「ウォーター」。
●蛇を愛する男の話「アンダーグラス」。
●元恋人の妻を生徒に持つ女の話「黒い森」。
●沈み行く妻の手に焦がれる男の話「舟幽霊」。
●教師と生徒の禁断の恋の話「死滅回游」。
デビュー初期より若い女性から絶大な人気を誇る新鋭作家の描く、“疚しい”恋愛オムニバス!

キャラクターが濃厚で重いのに、展開自体に奇跡や奇天烈なものはなく、あくまで淡々と進んでいくので、好き嫌いが顕著に出るだろうと思います。つまり、どこかほの暗さが残る話なのです。

掲載紙は、知る人ぞ知る『エロティクスF』!
さすが『F』、個性的な漫画が大好きな私にはドンピシャな内容です。特に私がお気に入りなのは、「アンダーグラス」でした。
「アンダーグラス」は黒髪リーマン(34)が主人公なのですが、この中年男性が凄いキャラクターです。短髪にメガネといういかにも普通の男性。対応が爽やかで女性社員に人気なのですが、常人には理解できない性癖を持っています。それは、ヘビにしか反応しない事。1日の仕事を終え、ひとり暮らしの家に「ただいまー」と挨拶しながら服を脱ぎ、裸になってヘビと戯れる。キャラクターが重い、重いよぅ! 人間の体温が苦手な主人公。そんな彼に、気になる女性ができるのですが…?もちろんアパート部屋には図書館の本棚のようにヘビの入ったケースがズラリ…。ああくそ羨ましい、私もこんな部屋が欲しいもんです! 飼育ケースに入れるのは、もちろん魚とハムスターですが(笑)

この作者の、特に女性の唇が好きです。女の子はプルプル可愛く、大人の女性はキュッと綺麗に。手に入るはずのない同性の親友に、疚しい想いを抱いてしまう「ウォーター」では、女子高生同士の軽いキスが見られるのですが、もう、可愛くてドキドキしました。
ちょっと待て、私もちょっと前までこんな事してたんだっけ(といっても、ポッキーゲームや身体の触りあいとかですが)。過去の自分が恥ずかしくなったり…(笑)

全ての内容が、少しずつ前後の話と繋がっています。連載の短編とでも言うべきでしょうか。内容に直接関わっては来ないけれども、物語の導入としてごく自然につながっています。
人間、誰しも疚しさを持っているもの。この漫画を読めば、あなたも何かしら共感したり、ギクリとしてしまうかもしれません。


主人公が自分の疚しさに思い悩む森。「逃げ水」

夜の森で暗闇の中、黙々と深い穴を掘る女。傍らには、寝袋が――。「金魚の墓」

戯れで触れ合う、親友の、ハッカの匂いがする柔らかな唇。「ウォーター」

隣人すら知らない、自分だけの、疚しさを秘めた森。「アンダーグラス」

『ドイツの黒い森』の名を持つケーキ。捨てられたケーキと同じ物を、今になって作る理由とは? 「黒い森」

毎夜夢に出る、沈み行く手に恋焦がれる。「舟幽霊」(C)灰原薬/太田出版