自殺の名所なのに、自殺者がいない……? よ~く考えて、“意味がわかる”と怖い4コマ

マンガ

更新日:2021/9/1

意味がわかると怖い4コマ
『意味がわかると怖い4コマ』(湖西晶/双葉社)

 ネット上には数え切れないくらいの「怖い話」が溢れている。得体の知れない怪異、人間が持つ根源的な悪意、都市伝説……。この時期になると、怖いもの好きとしては一通りそれらを読み耽ってしまう。時間が経つのも忘れ、気がつけば朝になっていることもしばしば。窓の外が白みはじめるのを見て、安心して眠りに就く自分もいる。読んだら後悔するとわかっていても、やっぱり怖い話はやめられないのだ。

 なかでもちょっと頭を使う怖い話がある。それが「意味がわかると怖い話」。検索するといろいろ出てくるのだが、これはよくよく読み込んでみると、実は深い意味が隠されているというもの。そして、その真実に気づいたとき、さらなる恐怖が訪れるのだ。

 そんな怖い話を集めたマンガが『意味がわかると怖い4コマ』(湖西晶/双葉社)である。本作は日常生活で起こるあらゆるエピソードを4コマ形式で描いている作品。一つひとつはそこまで怖くはない。というか、さらっと読むと、「いったいなにが怖いの?」と疑問符がつくだろう。けれど、そこで終わらせてはいけない。たった4つのコマにちりばめられている情報の断片を集め、組み合わせていくと恐ろしい真実が浮かび上がってくるのだ。

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 たとえば「もったいない」と題されたこちらのエピソード。パッと見、自殺しようとしている女性と、それを止めようとしている善意ある男性のやりとりだ。しかし、最後のコマの男性のセリフをよく読むと、違和感に気づく。自殺の名所にもかかわらず、自殺した人はひとりもいない。つまり、「自殺」ではなく、すべてが「他殺」ということ……? そう捉えると、この男性の笑顔が途端に不気味なものとして映るから不思議だ。