男は52秒に1回性的なことを考えている!? 最新研究で解き明かす男女の違い

暮らし

公開日:2020/8/10

女と男 なぜわかりあえないのか
『女と男 なぜわかりあえないのか』(橘玲/文藝春秋)

 男と女はどうしてこんなにも考え方が違うのか。異性に対して、そんなモヤモヤを感じた経験がある人は少なくないだろう。

『女と男 なぜわかりあえないのか』(橘玲/文藝春秋)は、最新の研究データを紹介しながら、男女の性愛の違いを明らかにした一冊。この本を読むと、やはり男と女は全く別の思考回路をもっていることが分かる。この本に掲載されている驚きの内容をほんの少しご紹介するとしよう。

30歳以上の男にとって、35歳以上の女は存在しない

「女は年上の男が好き」「男は若い女が好き」。これらの漠然とした「常識」の真相に迫った研究があるという。北米で年間に1000万人が利用する婚活サイト・Okキューピッドのビッグデータの解析によれば、女性が魅力的だと思う男性の年齢は、20代では自分より少し年上だが、30代では同い年か少し年下、40代では少し年下、50代では同い年。一方で、男性は、20代だろうが、50代だろうが、魅力的だと思う女性は20~21歳。もちろん、一部には年上好きの男性もいるが、その傾向は30歳をすぎるとほぼ消失するのだそうだ。30歳を超えると、男性の興味は20代の女性に集まり、魅力的だと思うのは、どんなに年齢が高くてもせいぜい30代半ばの女性まで。つまり、30歳以上の男性にとって、35歳以上の女性は存在しないも同然…。眼中になし、という結果になったのだ。

advertisement

 これは北米の人たちを対象とした研究ではあるが、日本で行ったとしても結果は大して変わらないだろう。どうしてこんなにも男女の好みの年齢に差があるのだろうか。それは、ヒトの脳が長い進化の過程のなかでそのように設計されてきたためだという。後世により多くの遺伝子を残すため、オスは、限られた資源を妊娠可能な一部のメスに集中的に投入する必要がある。これは差別の問題ではなく、進化の過程で生じた男女の利害の不一致という問題なのだ。

女性は身体が感じても脳は感じない

 男性にとっては、ペニスが勃起すれば欲情しているというのは、至極当たり前のことだろう。だが、女性はヴァギナが濡れているからといって欲情しているとは限らないようだ。被験者にあらゆる動画をランダムに見せて、身体的な興奮度と、主観的な興奮度を測定した実験によれば、女性は男性とは異なり、身体的には、男女のセックスだけでなく、ゲイのセックス、レズビアンのセックス、さらには、サルの仲間であるボノボのセックスでも性的反応を示した。主観的には、ボノボのセックスでは興奮を自覚していないのに、体は感じていたのだ。それは、女性の体はささいな性的刺激にも反応するようにできているためなのだという。女性は挿入される性であるため、不測の事態においても繊細なヴァギナを守らなければならない。だが、あらゆるものに脳が興奮していたら日常生活は営めないから、女性の体の興奮は、脳の興奮とは必ずしも一致しないようになっている。男性からすれば、「体が感じているのだから興奮しているだろう」と思うだろうが、男女ではそもそも体の構造が大きく違うようだ。

男性はみんなセックス依存症!? 52秒にいちど性的なことを考える

 女性は生涯に限られた数の子どもしか産めない。だから、セックスを貴重なものと考えるが、男性は、セックスすればするほど子孫を残す可能性が大きくなるから、その欲望に限界はない。純愛を求める女性と、乱交を求める男性とでは、すれ違いが起こるのは当然のことだろう。生理学的には、性欲は性ホルモンの一種であるテストステロンに強く影響される。

 男性は、テストステロン・レベルが9歳から15歳までに20倍も増え、思春期以降、セックスのことしか考えられなくなるという。テストステロンは女性の副腎からも分泌されるが、男性のテストステロン・レベルは最大で女性の100倍にも達する。テストステロン・レベルの差と同様、男女の性欲には大きな差がある。「男は52秒にいちど性的なことを考える」という研究結果もあり、男性はみんなセックス依存症といっても過言ではない生き物なのだ。

 その他にもこの本には「『美女はいじわる』は本当だった!?」「10人の父親のうち1人は他人の子どもを知らずに育てている」など、信じがたい驚きの研究結果が示されている。男女がこれだけ違うのならば、すぐに分かり合えないのも仕方のない気もしてくる。だが、違うから面白い。異性の気持ちが分からないという人は、少しでも理解できるようになるために、この本を手にとってみてはいかがだろうか。

文=アサトーミナミ