主婦探偵があるんだから、絵画修復士探偵があってもいいじゃないか!

小説・エッセイ

2012/6/26

時を巡る肖像

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 実業之日本社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:柄刀一 価格:540円

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美術品といえば、強盗がつきものです。
―ですが、意外にも美術品(特に絵画)が大っぴらに登場するミステリーは少ない気がします。
ミステリーというよりは犯罪小説になってしまうからでしょうか。確かに、絵が人殺しする訳はないんですが、絵画芸術とミステリーを愛好する者にとっては実に寂しいところであります…。

しかし!

日本全国にお住まいの絵画とミステリーを愛する皆様、おまたせ致しました。
これがお探しの品でございます。

本作は絵画修復士・御倉瞬介を主人公とした小説であります。一介の絵画修復士…と言うと、賢明なる読者の皆様はそこへ明智の様な探偵狂が現れるのだな、とお考えになるやもしれませんが、ハズレです。
なんと、一介の絵画修復士であるところの彼が、数々の怪事件に対して、類まれなる名探偵ぶりを発揮する作品なのであります。
「何故絵画修復士が探偵?しかも、絵画関係ないじゃん!」
と思いがちですが、ご安心ください。絵画修復士であるが故の眼でもって、実にステキな閃きを見せてくれるのです。
謎めいた殺人事件や不審な事故など、幸か不幸か、何故か様々な難事件に巻き込まれてしまう瞬介。
そんな名探偵兼絵画修復士の彼を、ピカソのデッサン画や、モネの睡蓮、デューラーの自画像などの超絶名画達が真実へと導きます。
ミステリーものとしてはもちろんなのですが、本作はこの絵画からの着想が実に独創的。
画家の着眼点や作品の本質、ビジュアルの向こう側に表現されたものから、電撃的なインスピレーションを得る瞬介は、本当にただの絵画修復士なのか疑わしいくらいです。
いや、もう冗談抜きに不可解なほどの名推理なのですからね。明智やデュパンなぞとは違った天才肌タイプでしょうか。

…そういえば、絵画鑑賞は、画家なりの個性を想像しながら、画家特有の秩序を推理しながら鑑賞するのが1つの勘所だと言います。

―と考えると、本作の主人公である、絵画修復士の御倉瞬介が類まれなる名探偵ぶりを発揮するのも少しは納…得?
(それにしても、何回絵画修復士って言ってるんでしょうか私は…)


もう各章のタイトルがこれですよ

探偵なら余裕で食えると思うんです

ちなみに9回言っています