副業の事業所得なら年間70万円以上も手取りに差が出ることも? 老後の不安を減らせる「お金の教養」

暮らし

公開日:2020/8/25

本当の自由を手に入れる お金の大学
『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)

 死ぬまで働き続けなければ…。年金などの「未来の収入」が期待できない現代人はそんなプレッシャーを背負っている。だから、家族のためや自分のためにあくせく働くが、本当はもっと時間にもお金にも余裕がある生活をしたいと思っている方は多いはず。「不労所得」という言葉は心を刺激するパワーワードだが、そんな自由でゆとりのある生活を掴めるのは、ごく一部の成功者だけのように思えてしまう。

 しかし、『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)を手に取れば、今よりもラクにお金を溜めたり、稼いだりすることができるかもしれない。本書は軽妙な関西弁でお金の教養をYouTubeやSNSなどで解説する両@リベ大学長さんが手掛けた1冊。図解を用いながらフルカラーで語られるマネー術には、お金に困らない人生を送るためのコツが詰め込まれている。

 著者いわく、自由で豊かな人生は「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」という5つの力を鍛えることで、手に入るのだそう。本稿では、サラリーマンがやるべき節税や副業を勧める理由を紹介したい。

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控除を利用して「課税所得」を減らそう

 税金は、請求された通りに払うもの。大半の人は、そんなイメージを持っているはず。しかし、控除を賢く活用すれば、稼いだお金をもっと手元に残すことができる。

 そもそも税金は給与から控除を引いた「課税所得」に対してかかる。一律10%の住民税と違い、所得税は稼げば稼ぐだけ税率が上がっていく。だからこそ、それを逆手に取り、控除を増やすことで課税所得を下げ、節税が可能に。

 目をつけるべきは、自らが確定申告する控除。ふるさと納税や医療費控除、扶養控除などは対象となる人が多く、実用的な控除なので要チェックだ。特に医療費控除は適用範囲が意外に広く、インプラント代やレーシック手術、不妊治療代なども対象となる。通院時の交通費も控除の対象となるので、こちらも忘れずに申告したい。

副業の「事業所得」は節税に繋がる!

 控除の恩恵は大きいが、その一方でサラリーマンに適用されるものには限界があることも事実。もっといい方法はないだろうか…。そう思った時にチャレンジしたいのが、副業で「事業所得」を生み出すこと。

 副業するなら、残業をして給料を増やしたほうがいいのでは…と思うかもしれないが、実は事業所得を生み出すことには3つの節税メリットがある。

①経費が使える
②青色申告特別控除が使える
③社会保険料の負担が減る

 特に魅力的なのが、社会保険料の負担が減るというメリット。社会保険料は税金と違って課税所得ではなく、給与額で決まるので控除を増やしても負担は減らない。だが、副業で稼いだ事業所得ならば社会保険料は徴収されないのだ。

 例えば、同じ1000万円の年収でも副業で700万円、給与で300万円という場合には給与所得のみの時と比べて年間73万円も手取りに差が出る。単純に収入源を増やせもするので、これを機に給与所得以外の稼ぎ方も考えてみよう。

自分に合う副業は「フロー型」or「ストック型」のどっち?

 でも、どんな副業に手を出したらいいのか…。そう悩む方のために、本書ではメルカリやSNSなどの小さな副業から将来性の高いものまで、事業所得に繋がる副業を具体的に紹介。

 著者いわく、副業にはやった分だけ収入を生む「フロー型」とお金を得るまでに時間はかかるが不労収入が期待できる「ストック型」の2タイプがあるため、求めている金額や稼ぎ方を加味して、どちらが自分に合うのか検討することが大切なのだそう。ただし、上級者はフロー収入で日銭を稼ぎつつ、ストック収入を育てていくという方法もありだ。

 著者が語る「注意すべきNG副業」と共に、せどりやウェブデザイン、アフィリエイトブログなどの小さく・リスク低く始めることができる副業は必見。「これならできそう」と思えるものを見つけてみてほしい。

 なお、本書には他にも人生6大固定費の見直し方法やマイホームより賃貸がおすすめな理由など、目からウロコなお金の教養がもりだくさん。節約や貯蓄、稼ぎ方などお金に関する悩みがすべてスッキリと解決できそうだ。

 どんな状況からでも人生は良くしていける。そう学べる本書は漠然とした閉塞感を抱えている方や、もっと自由に生きたいと願っている人に前を向く勇気も授けてくれるはずだ。

文=古川諭香