高校生カップルの、うぶエロ新婚物語！『才川夫妻の恋愛事情』の漫画家×原作者タッグ最新作『正臣くんに娶られました。』

“学生結婚”って、なんとも素敵な響きですよね。「わかる」と言ってくれる同志におすすめしたいのが、『正臣くんに娶られました。 1』（烏丸かなつ：漫画、兎山もなか：原作/白泉社）という作品。学生といっても大学生ではなく、なんと高校生同士が夫婦になります。

　高校生の春瀬知佳は、ひとり親家庭に育った女の子。バリバリ働いている母は、ひとりで留守番をする娘のことを心配し、知佳は中学生のころから、父親とふたり暮らしの幼馴染・時任正臣の家で夕飯をともにするようになった。たっぷりと愛情を注いでくれる母の帰りを待つあいだは、幼いころから片思いをしている正臣と、彼のきさくな父親と楽しく過ごす。だが、そんな幸せな暮らしは、あっけなく終わりを迎えた。知佳の母が、交通事故で死んでしまったのだ。

　母を亡くしたことは、幸福な少女時代の終わりであると同時に、試練のはじまりでもあった。親戚たちは、知佳の面倒を見ることをいやがって、たがいに押しつけあいをしている。けれど知佳は、本当はどこにも行きたくなかった。よく知りもしない親戚の世話にはなりたくないし、遠くに引っ越すことになってしまったら、正臣とその父親に会えなくなる。行き場を失くし、知佳が途方に暮れていると、正臣が意外なことを口にした──「嫁に来る？」と。

「居場所がないなら俺と家族になれば？」。突然のプロポーズに驚く知佳に、正臣は「絶対にひとりにさせない」と真摯な態度を見せてくれる。とはいえ、現実的に考えて、子どもだけで暮らしていけるはずがない。知佳は、ずっと好きだった正臣にプロポーズされたという事実だけで舞い上がっていたのだが、実は正臣には、キッズモデル時代に稼いだ貯金があったのだ。そして、彼が知佳を養うかわりに提示したのが、「結婚するからには本物の夫婦になる」という条件。「だから 俺とキスもセックスもすることになるけど……できる？」。こうして知佳は、高校生の幼馴染と、交際0日でいきなり入籍することになったのだが……。

　同じ高校の生徒であるふたり、夫婦であるということは、学校の中では秘密。高校生カップルならではの甘酸っぱさはもちろん、「エッチなことに興味があるお年ごろだけれど、相手はおたがいじゃなくちゃだめ」というひたむきな恋心もしっかりと楽しめる。相手のことを知りたい、相手の特別な存在になりたいと思うふたりが、じょじょに“本物の夫婦”に近づいていくさまは、恋愛の醍醐味そのものだ。

　各電子書店の女性ジャンル部門で１位を獲得した『才川夫妻の恋愛事情 7年じっくり調教されました』（ぶんか社）で人気の漫画家×原作者タッグの最新作、第１巻には初夜のその後の描きおろしストーリーも収録されている。まだまだ暑い夏の夜に、さわやかな高校生夫婦のうぶエロ新婚物語を、ぜひどうぞ。

文＝三田ゆき