すでに“警察小説”の人気ブランド、「姫川玲子シリーズ」の長編エピソード

小説・エッセイ

更新日:2012/6/27

インビジブルレイン

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 光文社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:誉田哲也 価格:1,050円

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“警察小説”とされる作品は、すばらしいものから殆ど読む価値のないものまで、それこそ掃いて捨てるほどある。それだけ人気が高く、裾野の広いジャンルではあるのだが、本当に“面白い!”と太鼓判を押せるような作品に巡り会うことは非常に稀。そんな弱肉強食なジャンルにおいて、誉田哲也の作品だけは、ここ数年間で最高のインパクトを保っている。

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警察やその周辺組織に対するディテールの深さはもちろんのこと、時にグロテスクとも思える事件現場の描写や強引な捜査手法などの飛び道具も完備。これらに加え、心情描写やトリックの部分もカッチリ書き込んで来るのだから、おもしろくないはずがない。今やこの分野は、誉田哲也の独壇場と言っても過言ではないと思う。

この「インビジブルレイン」は、前クールに竹内結子の鬼気迫る演技で話題を呼んだ連続ドラマ、「ストロベリーナイト」の流れを汲む傑作警察小説「姫川玲子シリーズ」の一篇。スピンオフの「感染遊戯」を除けば、今のところシリーズ最新作に当たる。

これまでのシリーズとちょっと様子が違うのは、主人公である玲子の“オンナ”の部分が強く打ち出されているところ。テレビドラマがあまりに強烈であったが故に、今ではすっかり“玲子=竹内結子”的な見方をしてしまうのだが、その感覚がピタリとハマってしまうのが面白くも切ない。語り部がクルクルと入れ替わる構成も、おそらく思惑通りにこちらのミスリードを誘ってくるし、それでいてストーリーが混乱することもない。あまりの見事さに唸ってしまうほど。

もちろん菊田・井岡を始めとするお馴染みのキャラクターも健在。既作ほど出番は多くないものの、要所々々で個性を発揮する。だから、これまでのシリーズを読み続けて来た人も、この作品で初めて姫川玲子に触れる人も、間違いなく楽しめることと思う。

この作品だけでなく、「姫川玲子シリーズ」は中毒性がかなり高い。頻繁に読み返したくなるタイプの作品群なので、電子書籍で持ち歩くには最適。“抜群に面白い警察小説”を探してる人は必携!


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※画面写真は電子文庫パブリのものです