不景気なのになぜ株価はあがるのか? 安倍首相が辞めたらどうなるのか? 勝ち続ける「投資のルール」とは!

社会

公開日:2020/9/13

バフェット流の投資はもう通用しない! 古い教科書はもう捨てなさい!

 話題の書籍『暴落はまだ終わっていない!』(KADOKAWA)の著者・塚澤健二氏は、11月のアメリカ大統領選挙まで株価は上がる。安倍首相が辞めた後、誰が首相となろうが変わりはないという。

『「景気が良くなると株価が上がり、景気が悪くなると株価が下がる」という「過去の常識」に捉われていると、株価上昇の理由が説明できません。
古い経済学が脳にしみついたアナリストたちはこの現象を説明もできずに頭を抱えるばかり。投資家も株価が上がる理由がわからないので「二番底が来るかも……」という疑心暗鬼から買うことができない』(著書より)

 世界で4番目に裕福な人間と言われている投資の神様・ウォーレン・バフェット氏は、企業業績などを分析してPER(株価収益率)が低い株を買い、株価が上がったら売るというバリュー投資が基本だ。

 しかし、このバリュー投資ではNASDAQのハイテク優良企業株は割高で買えないということになってしまう。

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『今後、FRBは無制限の量的緩和を継続することから、「相場と実体経済の乖離」はますます広がり、PERやPBRのような従来の教科書通りの指標(バリュエーション)はますます通用しなくなっていくことでしょう』

 事実、コロナウイルスの蔓延や企業の業績の大幅悪化、リーマン・ショックを超える戦後初の景気後退では、4月からの世界的な株価急回復は説明できない。アメリカの雇用統計が最悪な数字を示しているのに、どうして株が上がってきたのか?

いまの株価が割安なのか割高なのか。あなたは何を基準に判断していますか?

 塚澤健二氏の前著『いま持っている株は手放しなさい!』でも指摘しているが、会社の業績や将来性を見込んで株が買われるような時代ではなく、外国人投資家の思惑、政治の思惑、日銀の思惑、企業の思惑などが入り乱れて、複雑怪奇なマネーゲームが行われているという。

 それでは何を基準にして、今の株価が割安か割高かを判断すればいいのでしょうか?

『実体経済が悪いのに、株高を支えているものは何でしょうか。それは、ズバリ「お金」です。(中略)
FRBの資産残高は19年8月の3・75兆ドルをボトムに「疑似QE4」を行って株価を上げ、さらに20年に入ってから「無制限」にお金を供給する「QE4」に入りました。
それによってFRBの資産は7兆ドル台まで増えたことが、コロナ禍にかかわらず株を上げている要因だったのです』

 金融緩和で供給された大量のマネーの行き先は株式市場だけでなく、コモディティ(金、銀、プラチナ)に流入し、暴騰させてきたということになる。

『FRBが無制限QE4を続ける限り、株価は上昇しやすいことを示唆しています。つまり、マネーの量に対して株価が割安なので、急落することがあっても、FRBがお金を入れ続ければまた復活するということです』

『コロナが収まるとか、経済が良くなるとかは中・長期的にまったく無関係で、お金が入るか入らないかだけです。
「ニューノーマル」な考え方で相場を見ると非常にシンプルで、何も細かいことを考える必要はありません。お金がどうなっているかだけで株価が決まっているからです』

次の暴落はいつ来るのか? フェイク経済の終焉

 それでは、本のタイトルとなっている『暴落はまだ終わっていない!』というのは、一体どういうことだろうか?

 著書の中で「暴落」とは株価が急落して元の水準に戻るまで5年以上かかると定義している。ということは「リーマン・ショック」は暴落だが、「コロナ・ショック」は暴落ではなく急落調整ということになる。

 次の「本番の暴落」はいつ来るのであろうか?

『FRBが資産拡大をどこまでできるのかというと、ドルの価値が落ちて信用がなくなるまでは大丈夫。まだ「〇兆ドル」などと言っていられる間は問題ありません。
ただし、「デリバティブ(金融派生商品)・バブル」の崩壊のようなことが起きた時には対応不可能になるでしょう』

『無尽蔵の財政ファイナンスは当面の金融安定化策にはなるものの、近未来にはさらなる巨大な金融危機への芽にもなりかねず、ついにその既定路線に入ってしまったということだけは忘れないでおいてください』

 金利が低いうちは国債を大量発行しても返済利息は少なくてすむが、インフレになり金利が上昇し、フェイク経済が崩壊して「○○ショック」が起こったとしたら、そう簡単にはマネーを大量供給できなくなる可能性がある。

 個人投資家が個別銘柄を買って儲けるなんてかなり難しい時代となっており、「いま持っている株は手放しなさい!」と著者は力説する。

 また、個別銘柄は売って、株価が上がる局面や下がる局面で利益が出る、ETFを推奨している。

『暴落はまだ終わっていない!』(塚澤健二/KADOKAWA)

 本書の冒頭で、『今回はあくまで「予行練習」のようなもの。本番は2020年の秋から2021年以降に迎える可能性が高い』と示唆しているが、「金融緩和に依存した経済」の終わりはいつ来るのだろうか?

『過去30年間の価値観にしがみつき、新しい時代を受け入れられない人々が淘汰される30年間の始まり』に、いま何をすべきかのヒントが満載だ。

(編集部)

【著者プロフィール】
塚澤健二
1960年生まれ。株式会社T-Model.i代表取締役。
理系出身経済アナリスト。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
北海道大学工学部卒業後、理系出身アナリスト第1号として、日興リサーチセンター、ジャーデンフレミング証券、JPモルガン証券で、23年間にわたりトップクラスのファンダメンタルアナリストとして活躍。
2017年10月に独立し、世の中にない独自の予測モデル「T-Model」「T2」による的確な予測を提供して人気を集めている。インターネットラーニング『生活防衛の教室』は400回を超えるロングセラー番組。
著書に『いま持っている株は手放しなさい!』(KADOKAWA)、『そしてフェイク経済の終わりが仕組まれる』『そして偽装経済の崩壊が仕組まれる』『そして大恐慌が仕組まれる』(ビジネス社)、『未来からの警告! 2017年超恐慌時代の幕が開く』『未来からの警告2 トランプの破壊経済がはじまる』(集英社)など多数。
公式サイト『塚澤.com』 https://tsukazawa.com/